保育事故・学校事故対応の指針について

保育事故は
内閣府の『教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会』

内閣府:教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会

学校事故は
文部科学省の『「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議』

文部科学省:「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議

私立幼稚園は保育事故ではなく、学校事故(文科省)の方で対応との事。
各検討会から、ガイドラインが出されます。
子どもの事故について、管轄省庁で分断し縦割で検討・対応するのではなく、
全ての子ども、事故・事件を対象とする包括的な仕組みが必要です。

また、事故の事実究明・調査と、事故(事実)に対する検証、評価
というのは切り分けて考える必要があるかと思います。

事実は一つですので
その事実に対し、法的責任はどのようになるのか、
再発防止のためにはどうすべきか、未然防止への取り組みにはどう繋げるか、
安全危機管理体制や組織体制はどうだったのか等々、
あらゆる角度からの検討・検証が必要とされます。

調査する人や機関あるいは委員会などによって、
各々異なる「事実」が出てくるなどということは、
混乱を招くだけで、あってはならないことですから、
一番重要な「事実認定」を、誰がどのように行うか、
ということは重要な問題だと思います。

遺族・被害者・保護者・児童への事後対応については
誠実に行うという事は当然の事なのですが
民事裁判へと発展するケースは後を絶たず、深刻な状態が続いています。
事後対応に関わる問題として、法的責任をはじめ、
スポーツ振興センターのお見舞金給付制度や
損害賠償などに関わる保険会社の対応や問題などについても
今後、現実的な議論が進むことを望みます。

平成28年3月25日付
朝日新聞(社説)学校事故指針―子どもの命守る一歩に

平成28年3月22日学校事故対応に関する指針について
文科省有識者会議

平成28年3月22日 
文部科学省は「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議の中で、
事故後対応と事故調査に関するガイドラインを纏めました。

これまで、多くの遺族や被害者家族が切望してきた事が、大きく前進しました。
課題は残されていますが、この一歩が、次の一歩へと繋がることを願います。

日本でも、子ども達の異状死について全てが平等に初動調査の対象となる、
チャイルド・デス・レビューの制度化を望みます。
事故調査、特に初動に関しては、捜査機関との連携は必須だと思います。
今回の刑事裁判で、被害者参加制度を利用できたことで
閲覧可能となった捜査資料(実況見分や検死データ等客観証拠)からも、
即座に現場へ向かい調査ができるのは、
捜査機関の捜査能力・技術と権限があってこそだと実感していますし、
事実認定の難しさも感じております。
法的責任問題含め、調査権限や調査の在り方について、
今後、さらに、現実的な議論が進むことを望みます。

読売新聞 「学校事故、家族との連絡役配置…有識者会議指針」

NHK「学校での事故 3日以内に教職員聴取などの指針」

 
朝日新聞20160323

平成28年3月23日付け朝日新聞(社会面)より

朝日新聞デジタル:学校での子どもの死亡事故、調査委設置ルール化案を了承 文科省有識者会議

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
学校の授業や登下校中に子供が亡くなる事故について話し合ってきた
文部科学省の有識者会議は22日、
学校や自治体の対応を定めた指針案をまとめ、了承した。
遺族の要望を受けて第三者調査委員会を立ち上げることを初めてルール化。
遺族は前進を歓迎しつつ、課題を指摘する。

文科省は3月中にも、
指針を都道府県などログイン前の続きを通じて全国の国公私立学校に通知する。
有識者会議委員の酒井智恵さん(55)は、大阪教育大付属池田小の殺傷事件で長女を亡くした。
「必ずしなくてはならないものになるよう現場に周知してほしい」と話した。

 
■遺族「客観的事実知りたい」

「遺族が一番知りたいのは、何があったのかという客観的な事実」
東京都品川区の吉川優子さん(44)は、
2012年7月に長男慎之介君(当時5)を幼稚園の川遊び中に亡くした。

幼稚園側に尋ねても、「何も話せないの一点張りだった」という。
業務上過失致死傷罪に問われた元園長らの裁判で事実が判明するのを待ち続け、3年以上になる。
調査委員会の設置が指針でルール化されたことを、吉川さんは「前進」と評価する。
一方で、「詳しい状況を知るために、捜査機関との連携を盛り込むべきだ」と指摘した。

12年に小学1年生だった長女浅田羽菜(はな)さん(当時6)を、
通っていた京都市立小学校でのプール事故で亡くした母親(55)は、
調査委員会が中立、公平性を確保できるか疑問だという。
調査対象となる学校や学校設置者などが立ち上げるからだ。
「遺族が置き去りにされないようにしてほしい」と強く求めている。

東日本大震災の津波で74人の児童が犠牲になった宮城県石巻市立大川小。
この惨事が指針策定のきっかけの一つとなった。
次女を亡くした佐藤敏郎さん(52)は
「指針を出して終わりではない。実効性があるのか各項目ごとに点検し、
 現場で活用できるような内容にしてほしい」と話した。

 
■指針の主なポイント

【発生後の調査】

・死亡などでは3日以内に全教職員から聞き取り

・1週間以内に保護者に最初の説明

・保護者の要望がある場合、教育委員会などが調査委員会を立ち上げ
 
【再発防止】

・国は事故情報の報告を受けて蓄積、周知
 
【保護者への支援】

・遺族と学校をつなぐ「コーディネーター」を派遣
///////////////////////////////////////////////////引用終了

愛媛新聞_掲載記事「西条・加茂川園児死亡 元園長らに罰金求刑」

愛媛新聞 2016年3月17日付
西条・加茂川園児死亡
元園長らに罰金求刑 松山地裁

2012年7月に西条市中奥の増水した加茂川で、
西条聖マリア幼稚園(同市大町)のお泊り保育中に
吉川慎之介ちゃん(5)が流された死亡し園児2人がけがをした事故で、
安全注意義務を怠り3人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた
元園長らの論告求刑公判が17日、松山地裁であり、
検察側は、
元園長で無職近藤恵津子被告(75)=西条市丹原町丹原=に罰金100万円を求刑。
新居浜市大生院=元主任教諭で無職村上玲子(47)と
西条市禎瑞=同保育の計画立案者の教諭(休職中)越智亜里(46)
の両被告に罰金50万円を求刑した。

検察側は、上流の甲府で下流が増水するのは周知の事実とし、
インターネットなどの気象情報で現場の増水を容易に予見できたことから
遊泳は中止するべきだったと指摘。
危険を伴う川遊びをする以上、避難方法の検討やライフジャケットの着用など
危険を回避する計画を立てることは当然だったが、
その義務を尽くしていなかったと述べた。

慎之介ちゃんの遺族が「納得できる原因の説明をしてほしい」と意見陳述した。
弁論は次回公判で行われる。

愛媛新聞_刑事裁判_掲載記事

毎日新聞_刑事裁判_掲載記事「3被告に罰金求刑」

毎日新聞 2016年3月17日付
3被告に罰金求刑
地裁論告 西条・園児水死

西条市の加茂川で2012年「西条聖マリア幼稚園」(同市)の
宿泊保育に参加していた吉川慎之介ちゃん(当時5歳)が、
川遊び中の増水で流され水死し、園児2人が怪我をした事故で、
業務上過失致死傷罪の罪に問われた当時の引率者3人の論告求刑公判が17日、
松山地裁(日野浩一郎裁判長)であった。

検察側は、元園長(75)に罰金100万円、
元教諭(47)と教諭(46)にそれぞれ同50万円を求めた、
判決は5月30日。

慎之介ちゃんの両親の意見陳述もあり、
母親の優子さん(44)は
「今後子供が犠牲にならないようこの事故の教訓が活かされることを願う」と涙ながらに話した。
起訴状によると、3人は増水の可能性を予見でき、水難を防ぐ義務があったのに、
事前の現地調査や天候確認を怠って慎之介ちゃんを水死させたほか、
園児二人の頭や腕に1週間のけがをさせた、とされる。

弁護側は、川の急激な増水を予見できなかった、などとして無罪を主張している。

毎日新聞_刑事裁判_掲載記事

朝日新聞_刑事裁判_掲載記事「元園長に罰金100万円求刑 西条の園児水死事故」

朝日新聞 2016年3月17日付
元園長に罰金100万円求刑 西条の園児水死事故

西条市の加茂川で2012年7月、「西条聖マリア幼稚園」の園児だった
吉川慎之介ちゃん(当時5)が園の行事中に川に流されて亡くなった事故で、
業務上過失致死傷罪に問われた元園長の近藤惠津子被告(75)ら
3人に対する論告求刑公判が17日、松山地裁(日野浩一郎裁判長)であった。

検察側は近藤被告に罰金100万円、他の2被告に罰金50万円をそれぞれ求刑した。
休憩されたのは近藤H国の他、当時の主任教諭(47)と、行事の計画立案者(46)の2被告。

論告で検察側は
「危機管理に対する意識の低さが背景にあり、人災としての要素が大きく、過失責任は重大」
などと指摘した。

この日、慎之介ちゃんの両親が意見陳述し、母の優子さん(44)は
「子どもの未来が失われた。職業人として猪野を預かるという意識が欠けており、がくぜんとした」と語った。

弁護側の最終弁論は28日に行われ、結審する予定。

朝日新聞_刑事裁判_掲載記事

読売新聞_刑事裁判_掲載記事「川遊び園児死亡 元園長らに罰金求刑 松山地裁」

読売新聞 2016年3月17日付
川遊び園児死亡 元園長らに罰金求刑 松山地裁

西条市の加茂川で2012年、
西条聖マリア幼稚園の園児3人が川遊び中に増水で流され1人が死亡した事故で、
業務上過失致死傷罪に問われた元円筒の近藤惠津子被告(75)ら3人の
公判が17日、地裁(日野浩一郎裁判長)であった。

検察側は近藤被告に罰金100万円、
元主任教諭村上玲子被告(47)と川遊びなどを計画した越智亜里被告(46)に
それぞれ罰金50万円を求刑した。

論告で検察側は
「被告らは増水の原因となりうる上流域での降雨を気象庁のホームページなどから予見できた。
 遊泳を中止すべきで、
 実施するにしてもライフジャケットや浮輪を用意する義務があったのにそれを怠った」
と指摘した。

この日は、亡くなった吉川慎之介ちゃん(当時5歳)の両親が意見陳述。
父親の豊さん(46)は
「なぜ慎之介が死ななければならなったのか。説明責任を園は果たしていない」
と訴えた。

次回公判は28日で、弁護側の最終弁論が行われる予定。

読売新聞_刑事裁判_掲載記事

平成28年3月17日 NHK松山支局「水難事故で元園長らに罰金求刑」

平成28年3月17日

NHK松山支局

 
平成24年、西条市の川で、
幼稚園の行事で水遊びをしていた当時5歳の男の子が
増水した川に流され死亡した事故の裁判で検察は、
十分な安全対策を怠ったなどとして業務上過失致死傷の罪に問われている
幼稚園の元園長ら3人に罰金を求刑しました。

平成24年7月、西条市の加茂川で、
幼稚園の行事で教諭らの付き添いのもと水遊びをしていた園児らが、
増水した川に流され、このうち、吉川慎之介くん(当時5歳)が死亡、2人がけがをしました。

この事故で、
幼稚園の元園長の近藤惠津子被告(75歳)と元教諭らあわせて3人が、
川が増水する可能性を予見できたにもかかわらず、遊泳を中止せず、
必要な安全対策を怠ったなどとして、業務上過失致死傷の罪に問われています。
17日、松山地方裁判所で開かれた裁判で、
検察は、
「事前に調査をしていれば川が増水する危険性を容易に知ることができた。
 ライフジャケットなど救命用具の着用もさせず、安全管理や危機意識が低く、人災としての要素が大きい」
と指摘し、近藤元園長に罰金100万円、元教諭ら2人にそれぞれ罰金50万円を求刑しました。

これまでの裁判で弁護側は、「急激な増水や突然の濁流は予見することは不可能だった」
などと述べていて次回、今月28日に開かれる弁護側の最終弁論でも
無罪を主張するものとみられます。
判決は、ことし5月30日に言い渡される予定です。

/////////////引用終了

この事件について思う事

近藤被告、村上被告、越智被告の
尋問では、
保護者や遺族には説明責任は果たしたし
幼稚園教諭の免許を取得する際にも
ロザリオ学園や幼稚園協会などの研修でも
安全の事は習っていないし教えてもらっていない
何の準備もしていていなかったけれど
事故は防げなかったんだ、だから、責任はないとの主張。

下見は、越智が4月に行った、さらに、前年に息子と遊びに行ったついでに
川の様子を見た、村上は、事故後に越智が下見していた事を知った
近藤は、二人に任せていたとのこと。
あの川が危険だったら、ふれあいの里の人がそう教えてくれるだろうと思った。
自分からは聞かなかったし、聞こうともしなかったけれど。

近藤惠津子被告
「防げませんでした(怒)」と逆切れ気味に主張。
そのように見えてしまう人なのかもしれませんが。

せめて31名の子ども達の保護者には
同じ親として、
この人たちの姿勢や主張を見て聞いてほしかった。

たまたま、亡くなったのは一人だけでしたが
4人が流され、半数近くが川の中に取り残されて
偶然にも観光客の方がいて、スタッフも2人男性がいたことから
その方達に助けてもらえたから、無事に生きている訳で
たとえ、今、元気であっても
全員が、犠牲者で被害者であることに変わりはないです。

次の事故を防ぐために、まずできることは
他人事と思わないことです。

近藤被告が担任だったころに起きたというバスの事故。
園児は死亡した重大な事故だったと聞いています。
その後も、うんていからの落下、ブランコからの転落、鼓膜損傷等々
事故が多発し続け、今回の溺死傷事件が発生しました。
全て水面下で処理済・対応済となっています。
そして、これだけ事故が起きていても、
あの川では何もなかったから大丈夫だ、と思えてしまう感覚。
恐ろしいです。

偶然起きた事故なんかありません。
起こるべくして起きた事故です。

しかしながら、またもや、
無かった事にしようとしているロザリオ学園のスタンスは、
改善すべきだと思います。
元園長近藤恵津子被告は、何度事故を起こしても
ロザリオ学園が守ってくれるし、全て対応してくれる
そういう姿勢で、園長として子ども達と向き合い
この裁判でも、手厚い支援を受け、
傍聴席にいるロザリオ学園の関係者の皆さんに見守られながら
安心して法廷に座っているのです。

無かった事にして、
事故・事件を忘れた頃に、
また、子ども達が犠牲となる。
ずっと繰り返されている惨状。
今回の事件が証明しています。

平成28年3月4日付 愛媛新聞記事

平成28年3月4日付け愛媛新聞記事より引用

西条・加茂川園児死亡
「天気予報確認した」松山地裁元園長ら予見性否定

2012年7月に西条市中奥の増水した加茂川で
西条聖マリア幼稚園(同市大町)のお泊り保育中に
吉川慎之介ちゃん(5)が流されて死亡し
園児2人が怪我をした事故で、
安全への注意義務などを怠るなどして3人を死傷させたとして
業務上過失致死傷罪に問われた当時の園長ら3人の
被告人質問が3日、松山地裁で行われ、
元園長の無職近藤園津子被告(75)=西条市丹原町丹原は
「1週間前から(継続的に)新聞の天気予報で確認していた」
などと、急な増水は予見できなかったと主張した。

ほかの2人は
元主任教諭で無職村上玲子被告(47)=新居浜市大生院と
同保育の計画立案者で園教諭(休職中)越智亜里(46)=西条市禎瑞の両被告

近藤、村上の両被告は、現場が雨で急に増水すことがあることは知らず
職員会議などで浮き輪やライフジャケットが必要
との意見が出たことは無かったと述べ
新聞などで西条市内の天気予報を確認し続け、
当日の天気は実際に確かめて川遊びの実施を決めたと説明した。

越智被告は4月に現場を下見した際
「過去にお泊り保育を実施した時と川の様子はほとんど変わっていなかった」
と述べた。

3人は、いずれも証言の冒頭で
「助けることが出来ずに申し訳ない」と謝罪した。

・・・・・・・・・・引用終了・・・・・・

3人の被告らですが、
安全の事は習っていません、
川の危険について聞いたことありません
ふれあいの里のスタッフも教えてくれなかったなどと証言し
安全対策等の準備は何もしていなかったことが明らかになっている中で
「助けられなかった」は無いでしょうと思っています。
何も、響きません。

近藤被告は当日の天気予報は確認していないと述べ
「空を見て決めた」と証言。
村上被告、越智被告は、雷注意報は掲載されていなかった
などと述べていましたが・・・
一週間前に行われた夕涼み会では、前日からの雨の影響で
園舎内と園庭で開催することになったのに「ずっと晴れていた」とは。

事故当日、
「今日、明日と天候が悪そうなのでカッパを持参してください」
と通知を出しています。

H24年7月20 お泊り保育当日_マリア幼稚園からの注意案内(PDF)

 
以前、弁護士である保護者の方に
先生方は、これから本当の事は話しません、
時間の経過とともに
自分の都合の良いように記憶が上書きされていき
それが、あたかも事実だと思いこむようになるのが
人間の脳の性質です、と言われたことがありましたが
その現象を目の当たりにしているという事なのでしょうか。

平成28年3月4日付 愛媛新聞記事「天気予報確認した」松山地裁 元園長ら予見性否定

平成28年3月4日付 愛媛新聞記事
「天気予報確認した」松山地裁 元園長ら予見性否定

刑事裁判、初公判に関する掲載記事

平成27年12月24日の刑事裁判、初公判に関する掲載記事です。

平成27年12月25日

愛媛新聞(PDF)

朝日新聞(PDF)

読売新聞(PDF)

毎日新聞(PDF)

 
<愛媛新聞より>
被害者参加制度で公判に出席した父吉川豊さんは閉廷後
「園から事故原因の報告は無く、裁判で被告がどう考えているのか知りたい」と話した。