時事通信社 H25.9.17「幼稚園の責任認める=津波で送迎バス園児犠牲―1億7700万円賠償命令・仙台地裁」

東日本大震災の際、私立日和幼稚園(宮城県石巻市)の送迎バスが津波に巻き込まれ園児5人が死亡したのは、幼稚園側が安全配慮を怠ったためとして、5人のうち4人の両親が園を経営する学校法人「長谷川学院」と当時の園長を相手に、計約2億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、仙台地裁であった。斉木教朗裁判長は園側の責任を認め、計約1億7700万円の支払いを命じた。

東日本大震災の避難誘導などをめぐり、遺族らが施設に賠償を求めた訴訟の判決は初めて。

幼稚園側が津波を予想できたかなどが争点だったが、斉木裁判長は判決で、「(当時は)約3分間にわたって最大震度6弱の地震を実際に体感しており、ラジオなどで大津波警報なども出ていた」と、十分に予想できたとの見方を示した。

その上で、「バスが海沿いを走行すれば津波により被災する危険性があることを考慮し、積極的に情報収集すべきだったのに、それを怠り、高台の幼稚園から海沿いの低地へ送迎バスを出発させた」と指摘。園側が積極的に情報を収集し、マニュアル通りに幼稚園に園児らを待機させていれば、死亡することはなかったと判断した。

園側は「市街地まで大津波が来ることは予想できなかった」「一刻も早く園児を保護者に返そうとした」と主張していたが、これを退けた。

[時事通信社]H25.9.17

 

大きな意義ある判決です。

遺族の方が「教育現場で安全の見直しをしてほしい」とコメントされていました。
日和幼稚園の問題、震災という事に注目するのではなく、本質を理解しこの教訓を活かしてほしい。
そう思いました。
幼稚園、保育園、保育所、学校・・・それぞれ管轄が違うなど、強い縦割り意識下の中、子供の安全危機管理、命が守られる、という事は平等のはずです。
単なる怒りや悲しみだけで、裁判を起こす人はほとんどいません。
知ってもらいたい、そして、真実を知るための手段としての苦渋の選択です。
どう受けとめるか、受けとめる側の問題ですが、表層的な事で終わらせず、問題「なぜ」を突き詰めて考えていく、原因究明、再発防止策、必須なのです。
こうして裁判を起こしたり、事実を訴えたりすると、子供を失った上に、さらに、当事者からの不誠実な対応や、周囲の残酷な反応、意識の温度差、個々の解釈で否定的にとらえられたりすることなどもあり、遺族・被害者には、二次三次被害が待っています。
それでも、声をあげることをやめないのは、私の場合は、やるしかないと覚悟している事、再発防止策が活かされることで、慎之介が生きた証が刻まれると信じているからです。
悲しみや苦しみと向き合いながらも、声をあげ闘っている方々から力や勇気を頂いてます。
厳しい現実の方が際立ってしまうのですが、でも、同じ思いを持っている人が実は、沢山存在しているという事を感じていただけたらと思います。
声をあげたくても、あげることが出来ない方も同じです。

どうか、この思いが届きますように。