2016年9月8日付 産経ニュースに記事が掲載されました。

2016年9月8日付 産経ニュースに記事が掲載されました。

産経ニュース「子供の事故防げ 一人息子を水難事故で亡くした遺族の試み」

 
 
事故や災害から子供の命を守ろうと、水難事故で5歳の長男を亡くした遺族が再発防止に取り組んでいる。東京都品川区の主婦、吉川優子さん(45)。一般社団法人吉川慎之介記念基金を設立して代表理事に就任し、シンポジウムを開催するなど情報発信を続けている。

■今でも残る悔い

 吉川さんの一人息子の慎之介君は2012年7月20日、愛媛県西条市の加茂川で、水遊び中に亡くなった。一家は当時、同県に住んでおり、事故は慎之介君が通っていた私立西条聖マリア幼稚園の宿泊保育中に起きた。

 1泊2日のこの保育では、川遊びが恒例となっていたという。この時は、教員8人で園児31人を引率。川で遊んでいたところ、急に水量が増え、園児4人が流された。慎之介君が亡くなり、2人が頭や腕に軽傷を負った。

 この事故では、当時の園長や教諭ら3人が業務上過失致死傷罪に問われ、今年5月30日に松山地裁が「上流域の天候を確認しないまま安易に増水などの危険性がないと軽信した」などとして園長に罰金50万円、ほかの2人に「過失はない」などとして無罪を言い渡した。

 吉川さんは「家で海や川に遊びに行くときは必ずライフジャケットを着けさせる習慣だった。あのとき注意しておけば…。今でも悔いは消えない」と当時を振り返る。

■再発防止への取り組み

 吉川さんは2014年に一般社団法人吉川慎之介記念基金を夫の豊さん(46)とともに設立。再発防止に取り組むため、基金が運営する「日本子ども安全学会」を大学教授ら有識者20人で立ち上げた。以来、保育や教育現場での安全危機管理についての研究や情報を発信する場として勉強会やシンポジウムを開催している。アメリカの子供向け安全教育に関する専門家の講演や、保育士が実際に経験した重大事故の報告など内容は多岐に渡る。

 9月10日には東京都千代田区の中央大学駿河台記念館で、日本子ども安全学会の第3回大会を開く。午後1時からで、資料代を含む参加費は2千円(学生1千円)。子供の安全に関する基調講演や研究報告などが予定されている。
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