西条市での「子どもの事故防止」に関する講演会について

平成30年1月19日、西条市主催の子どもの事故防止に関する講演会が開催されました。

詳細はこちら(一般社団法人吉川慎之介記念基金Webサイト)

この講演会は、事故直後から西条市が実施している就学前関係者合同連絡会の取り組みの一環で
私立・公立・保育園・幼稚園・小中高の関係者が参加しました。
今回は、一般市民にも向けた公開講演でもありました。

愛媛大学の小佐井先生の講演は、心に響く素晴らしい内容でした。
出席者の方は、校長や園長など管理者レベルの方も多く参加されていました。

そんな中、西条聖マリア幼稚園の園長の姿を確認できませんでした。
他の職員は参加していたようです。

2016年12月に愛媛大学で私達夫婦が講演した際には、
ロザリオ学園の理事長代理の森岡氏をはじめ関係者が数名、出席していました。
耳の痛い内容だったはずですし、学生らからも幼稚園に対する厳しい意見がありましたが
彼らは最後まで参加していました。
しかし、この時も、西条聖マリア幼稚園の園長やお泊り保育引率教諭らや元園長は不参加でした。

今回は、事故が発生した地域、自治体主催で
西条聖マリア幼稚園のお泊り保育事故を契機に始めた大切な合同連絡会なのにもかかわらず
周囲が真剣に前進している中で、当事者たちは不在のままです。

NHK松山放送局より
1月20日 NHK松山放送局
地域全体で子どもの命を守る
 
全国で子どもの事故が相次ぐ中、愛媛県西条市は市内すべての幼稚園や保育園、それに地域の人たちを対象に初めての講演会を開き、過去の事故を教訓に地域全体で子どもの命を守る取り組みを進めていくことになりました。

 この講演会は、6年前、地元の川に幼稚園の行事で訪れた5歳の吉川慎之介くんが水遊び中に流されて死亡した事故を受け、慎之介くんの両親が事故を教訓にしてほしいと要望し、西条市が開催しました。
市内の保育園や幼稚園の関係者、小中学校の教職員や地域の人たちなどおよそ200人が参加しました。
 子どもの事件・事故をめぐる法的な問題が専門の、愛媛大学法文学部の小佐井良太教授が講演し、「教育・保育施設側は、事故を不祥事と捉え、検証が徹底されないケースがある。再発防止のため、情報を関係機関で共有し、連携することが大切だ」と述べました。
その上で、過去の事故を教訓に地域全体で子どもの命を守る取り組みを進めていくことが重要だと訴えました。
 西条市は、今後、こうした講演会を5月にも開くほか、新年度からは子ども用のライフジャケット140着を無料で貸し出すなど事故防止に力を入れることにしています。
西条市教育委員会・学校教育課の鈴鹿基廣課長は、「地域への啓発活動など子どもの事故防止のための取り組みを今後も継続していきたい」と話していました。
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遺族と子どもの事故の問題について

2017年10月2日~3日
ウィズニュースに、遺族と子どもの事故の問題に関する記事が掲載されました。

2012年4月、大阪府茨木市の安威川で溺れた小中学生を助けようとした男性が亡くなりました。
小中学生は子どもたちだけで遊んでいて、保護者は見守っていませんでした。
2012年7月、京都市内の市立小学校のプール活動中、小学校1年生の女の子が亡くなりました。
2012年7月、愛媛県西条市の西条聖マリア幼稚園のお泊り保育に参加していた慎之介は、加茂川で行われた水遊び中に亡くなりました。

大切な家族を水難事故で亡くした3人の遺族が取材を受けました。
同様の事故を繰り返してほしくない、思いは同じです。

 

10月2日配信記事

家族の死、美談で終わらせないで…川に飛び込み犠牲に、遺族の違和感(ウィズニュース公式サイト)

 

10月3日配信記事

また事故が起きたね…「それは絶対に嫌」遺族が伝えたかったこと(ウィズニュース公式サイト)

 

遺族になり、多発している子どもの事故問題、
私立幼稚園の責任問題、組織体制の問題、事後対応の問題など、
全て同じことが繰り返している状況と対応する機関、仕組みはなく、
選択肢は裁判のみという現実を知り愕然としました。
事故を無くすことや体制を変えることは、本当に難しいです。

一歩一歩が重く、なかなか進みませんが、
慎之介が亡くなり5年が過ぎたなかで、変化の兆しも感じています。

事故は
可哀そうで不運な出来事、仕方ない。

こうした事故に対する理解が変わることを願います。

平成29年8月14日水難事故予防に関する番組が放送されました。

平成29年8月14日
NHK おはよう日本で水難事故予防に関する番組が放送されました。
事故は予防できる、防ぐものという理解が広がることを願います。

川の浅瀬での子どもの事故 ”転ぶと水の力5倍”(NHKニュース 公式サイト)

 
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子どもが川などで流されて死亡する事故について、国の研究機関が行った検証実験の結果、川の浅瀬で滑り転んだ瞬間、立っている時の5倍近い水流の力がかかり、体重の軽い子どもは流されてしまうおそれが高まることがわかりました。
検証実験を行ったのは国の研究機関「産業技術総合研究所」で子どもの事故防止の研究に取り組む、西田佳史首席研究員のグループです。

グループは、6歳の子どもを想定した身長114センチ、体重23.4キロの人形を使い、川に見立てたプールで水深を10センチから20センチの浅瀬に設定して、人形が立っている場合と滑ったり転んだりして座り込んだ状態になった場合に分けて、水から受ける力がどのように変化するか調べました。

その結果、子どもにとっては比較的速い流れと言える秒速1.5メートルの場合、浅瀬で立った状態の時には、人形が流されるほどの力は受けなかったものの、座り込んだ状態になると、流れる水から受ける力が立った状態の4.8倍となり、人形が流されるレベルに達することがわかりました。

西田首席研究員はコケや藻などで滑ったり、岩などに足を取られたりしやすい川の浅瀬では、転んで座ったような状態になると子どもは、一気に流されてしまうおそれが高まると指摘しています。

西田首席研究員は「浅瀬も体重の軽い子どもにとっては危険で、ライフジャケットを着用するなど対策を取ってほしい」と話しています。
全国での子どもの水の事故
川の浅瀬など水辺で子どもが水遊びをしていて溺れて死亡する事故は全国で相次いでいます。

警察庁のまとめによりますと、去年までの3年間に川や海での水難事故で亡くなったり、行方がわからなくなったりした14歳以下の子どもの数は、全国で139人に上ります。

このうち、場所別では「河川」が最も多く、72人と半数を超えています。次いで、「海」が31人、「湖沼池」が19人などとなっています。さらに「河川」での事故のうち、およそ6割に当たる42人は、水泳中ではなく、浅瀬など水辺で子どもが水遊びをしていて事故が起きています。

愛媛県西条市では、5年前、5歳の男の子が幼稚園の行事で川に行き、水遊びをしていたところ水が増えて流され死亡しました。去年7月には、三重県松阪市で川に入って遊んでいた7歳の女の子が溺れて死亡したほか、去年8月には、徳島県海陽町で川遊びをしていた8歳の男の子が死亡するなど、河川での水遊び中の事故が相次いでいます。

こうした事故が多い背景について、警察庁は川は浅瀬だとしても流れが速い場所があるほか、突然、深みに入ってしまったり、藻やコケなどが生えているため、滑って転んだりすることが大きな事故につながる原因になるとしています。
一人息子を亡くした夫婦の訴え
東京都内に住む吉川優子さんと夫の豊さんは、5年前、5歳の一人息子、慎之介くんを水の事故で亡くしました。

慎之介くんは幼稚園の行事で愛媛県西条市の川に行き、水遊びに参加していたところ、増水した川に流されました。当時、子どもたちはライフジャケットを身につけていませんでした。

事故をきっかけに子どもの安全を守る団体を立ち上げた吉川さん夫婦は、子ども用のライフジャケット着用の大切さを訴えています。

西条市は吉川さん夫婦の提案を受け、今年度、子ども用のライフジャケット40着を新たに購入し、市内の子どもたちが学校行事で水辺で活動する際には着用を新たに義務づけました。また先月、優子さんらのグループは西条市の音楽イベント会場の一角に特別にブースを設け、親子連れなどに実際にライフジャケットを試着してもらいながら、水遊びをするときには必ず着用してほしいと呼びかけていました。

吉川さん夫婦の訴えは全国にも広がりを見せ、先月、長崎県大村市で開かれた保育園や幼稚園の職員が子どもの安全を学ぶ講座では、吉川さんの事故が重い教訓として取り上げられました。

吉川優子さんは「事故はどこでも誰にでも起きるが予防することができる。ライフジャケットを事前に用意するなど多くの人にきちんと予防策を取り入れてほしい」と話していました。

吉川さん夫婦は、今後、全国の自治体やほかのNPOとも連携しながら、子どもの命を水の事故から守る社会の実現を目指していきたいと話しています。

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平成29年8月4日これまでの活動と思いについて

平成29年8月4日 NHK松山放送局

子どもの水の事故を防げ 遺族の活動(NHK松山放送局 放送)

 
NHK松山放送局で私達の活動や遺族としての思いなど
丁寧に取材を重ねて下さり、8月4日に愛媛県内で放送されました。
 
事故の教訓を活かすために
ライフジャケットを着用した活動について西条市へ
申入れをしていました。
 
西条市内の学校では、川や海で活動する際、
必ずライフジャケットを装着することになりました。
 
次世代へも繋がっていきますように。
 

今年も慰霊式のファックス通知

学校法人ロザリオ学園の代理人弁護士事務所から
私達の代理人弁護士事務所へ
慰霊式の「ご連絡」がFAXで送られてきました。

17071301

ほかの保護者へは郵送されるのだそうです。

毎年、誰がどのような式を行ったのかなど
全く、報告はありません。
先生達からも、手紙一枚、いただいた事はありません。

私達は、日本子どもの安全学会の機関誌など
ロザリオ学園と西条聖マリア幼稚園、先生方へ郵送しています。
しかしながら、一度も、お返事を頂いた事はありません。

5年間、理解に苦しむ対応が続いています。

教訓をいかすということ

とても残念なニュースに目が留まりました。
しかし、このような対応への問題提起が新聞社から発信されるということは、
世論が動き始めているということを感じます。
事故は無かった事には出来ません。
遺族は責任問題と向き合うだけではなく、再発防止・事故予防についても
「二度と同じことを繰り返さないために」という思いで活動を続けています。
教訓をいかすということを、遺族だけではなく、全ての当事者・関係者が
共に考えなければ、社会全体へ繋がりません。
記事にある研修はこれから開催されるものです。
有意義な研修になることを、心から願います。

遺族の講演、県教委拒否 運動部顧問向け研修会:滋賀
2017年6月17日:中日新聞

 
記事より・・
県教委が、県内の中学、高校の運動部顧問らを集めて二十日に行う体罰防止研修会で、二〇〇九年に柔道部の練習中の事故で死亡した愛荘町秦荘中の村川康嗣(こうじ)さん=当時(12)=の母弘美さん(49)の講演を拒否していたことが分かった。県教委は、村川さんが元顧問らを相手に起こした訴訟が継続中だと誤解していたといい、担当者は「村川さんが参加することで、県教委に何らかの影響があると思った」と話している。

 研修会は、部活動中の不適切な指導を防ぐため、県教委が県内の中学、高校の運動部顧問らを対象に年二回開いている。今回は学校での事故に詳しい日本体育大の南部さおり准教授が、運動部における安全指導について二時間講演し、村川さんは南部准教授の依頼で、その講演の中で十五分ほど話すとしていた。

 県教委によると、南部准教授から学校での事故を研究する関係者の参加を希望され、五月に了承したという。しかし、今月末に南部准教授の企画で開かれる日体大の学生向けの研修会で村川さんが講演することが分かり、県教委の研修会へ参加する関係者の中に村川さんがいるかどうか、南部准教授に照会。参加が分かったため「(訴訟が)終わっていない」ことを理由に断った。

 その後、県教委は訴訟が終わっていたことを知ったが、「当初から計画になかった」として村川さんの講演を拒否。研修会への参加を認めるものの、出席者から質問があっても、村川さんの発言の機会を認めないとした。

 県教委の担当者は「村川さんに話してもらうのがまずいということではない。今後、事故防止の観点で研修会が開かれるのであれば、講演の可能性も考えられる」としている。

 南部准教授は「教育委員会に、村川さんが話す原稿を事前に確認してもらってもいいと打診したが、だめだった。過敏になっているのではないか」と戸惑う。事故の再発防止を願い、各地で講演活動をしている村川さんは「参加はOK、話はだめというのであれば、事故から学ぼうという姿勢がないように感じられ残念だ」と語った。

 <愛荘町秦荘中の柔道部員死亡事故> 
2009年7月、1年の村川康嗣さんが、柔道部の練習中に意識不明となり、1カ月後に急性硬膜下血腫で死亡した。村川さんは、実践形式で技を掛け合う「乱取り」の練習中、上級生に繰り返し投げられた後、元顧問にも投げられ意識を失った。県警は12年3月、元顧問らを傷害致死容疑で書類送検したが、大津地検は13年7月と14年7月に不起訴とした。損害賠償を求めた訴訟では、町の責任は認められたが、元顧問の責任は最高裁で退けられた。

◆各地の教委は…

 部活動の顧問らを集めた研修会は、各地の教委が毎年開催しており、近年は被害者の家族や遺族から課題や教訓を直接聞いて学ぶケースも増えつつある。

 長野県教委は昨年十月、事故対応のあり方を考えるシンポジウムを開き、二〇〇七年に兵庫県立高校のテニス部の活動中に熱中症で倒れ、重い障害が残った元生徒の家族をパネリストとして招いた。県教委の担当者は「学校事故を減らす観点から見て、被害に遭った人や専門家らの意見は必要だ。話してもらうことで防止につながる」と話す。

 名古屋市教委は、向陽高柔道部の練習中に亡くなった倉田総嗣さん=当時(15)=の事故から毎年、武道の安全指導研修会を開催。一四~一五年、倉田さんの母久子さん(56)が講演し、市教委によると、九割以上の参加者から好評だったという。久子さんは「被害者自身の言葉は、何より強い訴えになる」とし、今回の滋賀県教委の対応について「話の意図も理解しないうちに、県教委が講演はだめと言うのはどうなのか」と疑問を呈す。

 兵庫県内の中学校でラグビー部の活動中に熱中症で息子を亡くした、全国学校事故・事件を語る会の代表世話人の宮脇勝哉さん(59)は「再発防止のために遺族の話を聞いてもらったら、指導者は身につまされると思う。すべて訴訟は終わっているのに、遺族が話すことに対して、何か支障があるのか」と憤った。

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子どもの水の死亡事故5年間で202件

事故が起きるたびに、
「今まで何もなかったから大丈夫だと思った」
「これまでも危ないと思った事はなかった」
ということが繰り返し言われ続けています。

厚労省の人口動態調査によると、5年間で202名の子どもたちが
水難事故で亡くなっているとのことですが、
慎之介も202名の中の一人です。

川、海、湖などでの水遊びや水辺での活動の際には
ライフジャケットの装着が常識になってほしいです。
幼児は、プールでも着用した方がよいと思います。
それでも、100%安全ということはありません。
だからこそ、できる限りの対策が必要なのだと思います。

「子どもの水の死亡事故5年間で202件 夏場にかけ注意を」(5月17日 NHK)

 
14歳以下の子どもが海や川などで溺れて亡くなる事故が、平成26年までの5年間に202件、起きていることがわかり、消費者庁は、これから事故が集中する夏場にかけて特に注意するよう呼びかけています。
消費者庁が、厚生労働省の人口動態調査に使われる調査票を基に、14歳以下の子どもが海や川、プールなどで溺れて亡くなった事故を調べたところ、平成26年までの5年間で202件に上りました。

年齢別に見ますと、7歳が最も多く23件、次いで6歳が20件、8歳が16件など、より活動的になる5歳以上で特に多く起きています。また、事故は5月から9月にかけて集中し、最も多い8月は61件、7月は48件となっています。

海や川などで事故を防ぐための注意点として、消費者庁は、

>子どもだけで遊ばせず必ず大人が付き添い、目を離さないようにすること、
>天候の変化に注意すること、
>ライフジャケットを着用すること

などを挙げています。

消費者庁の岡村和美長官は「子どもの不慮の事故の死因のうち、溺水は多くの年代で上位にある。特にこれからの時期は屋外での事故が多くなるので注意してほしい」と話しています。

消費者庁は、ことしから5月の第4週を「子どもの事故防止週間」と位置づけ、ことしは水の事故を重点の1つとして今月22日から28日にかけて集中的に注意を呼びかけることにしています。

・・・・・・引用終了

消費者庁:子どもを事故から守るプロジェクト!

変わらぬ思い

民事裁判が、やっと、本格的な議論に入りはじめましたので、
改めて、変わらぬ思いを記録します。

本サイトは2012年7月20日に慎之介が溺死したことについて、
その事実と、遺族としての率直な思い、感じたことを記録しています。

私は、遺族という立場を辞めることも、変えることも出来ません。
慎之介が生き返るのであれば、
遺族では無くなりますが、そんな願いは叶いません。
遺族であることと、様々な思いを封印し、
子どもの安全に関する活動をするなどということはあり得ません。
遺族が声をあげなければならない現状の中で、
できる限りの事をやっている状況です。
慎之介の事故について、遺族として発信しなければ、
無かった事にされていたのは間違いのないことです。
しかし、発信していても、知られていないというのが厳しい現実なのです。
変えられないもの、変わらないものに心を向け期待を寄せても前進はない、
ということは学びきりました。

子どもの命が軽く扱われている現状と
遺族が声をあげなければならない深刻な状況を変えたいです。
裁判を経験した遺族にしかできないこと、言えない事があります。

民事裁判、真摯に向き合います。

私立・公立関係なく実効力あるガイドラインと仕組を

とても悲しい現状です。
私も卒園式には出席させてもらえませんでした。
西条聖マリア幼稚園の現園長呼石さんに、保護者が私の参列をお願いしましたが
「出てほしいのは山々なんですけどね~」という対応だったということでした。
この記事を読んだ方達から、西条聖マリア幼稚園と重なったと言われました。
あの頃のことを思い出すと気分が悪くなります。
他人事ではありません。

私立・公立関係なく実効力あるガイドラインと仕組を望みます。

「大分の私立中、遺族の卒業式参加を拒否 体育の授業中に倒れ死亡」(4月17日付東京新聞)

 
 大分市の私立岩田中で体育の授業中に倒れ、死亡した三年柚野(ゆの)凜太郎さん=当時(14)=の両親は三月、学校から卒業式への参加を拒まれ、警察に通報される騒ぎとなった。学校の対応は、文部科学省が昨年春に示した「学校事故対応に関する指針」に沿っておらず、指針を取りまとめた一人は「遺族へ誠実に歩み寄るべきだ」と批判する。
 柚野さんは昨年五月十三日、体力測定の授業で二十メートルシャトルラン(往復持久走)の最中に意識を失い、搬送先の病院で二日後に亡くなった。両親の要望を受け、中学を運営する学校法人は第三者委員会を設置し、詳しい事故原因を検証している。
 今年三月二十四日の卒業式。「凜太と一緒に卒業したい」と友人が訴え、空席に遺影を置いた。柚野さんの名前が読み上げられると、クラスメートが「はい」と声をそろえた。学校は二日前の同二十二日、理由は示さずに両親の式への参加を認めなかった。納得できない両親は当日、他の保護者と同様に学校を訪ねたが、職員に制止された。敷地に入ると、通報を受けた大分県警に事情を聴かれ、式は終わってしまった。
 柚野さんの母親(40)は「代わりに返事をしてくれた友達の声を聞きたかった。息子に何も報告できず、悔しい」。学校側は取材に、両親を拒んだ理由を「面会などで感情的になることがあり、式の運営に差し障りがあった」と説明する。
 文科省は昨年三月、こうしたトラブルを防ぐため、全国の都道府県知事などに学校事故対応の指針を通知した。法的な拘束力はないが、卒業式について「保護者の意向も確認し参列も検討する」と明記している。
 大分県も今年一月から、指針に基づき、両親と協議するよう数回要請したが、学校側は「意向がどうあれ、決定は変わらない」と話し合いの場を持たなかった。
 指針の作成に当たった有識者会議のメンバーで、京都精華大の住友剛教授(教育学)は学校の対応に「明らかに趣旨に反している。今回をスタンダードにしてはいけない」と言い切る。
 指針は「最低ラインの取り組みを示したもの」と指摘し、「文科省も学校向けの研修を強化するなど、教育現場への浸透に責任を持つことが必要だ」と話している。

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活かされない教訓

記事の中に東予地区とありますが、
同じ地区で発生した西条聖マリア幼稚園の死亡事故、事後対応に関する教訓
そして、全国各地で発生し続けている保育事故からの教訓が
全く活かされない現状、これが現実なのだと痛感させられました。
無かった事にする隠蔽体質、閉鎖的な組織体制、
事故は他人事という姿勢では次の事故を招きます。
それは、西条聖マリア幼稚園が証明しています。
犠牲になるのは子ども達です。

行政による監査は
その内容を公開し共有することが重要です。

2017/01/11付 毎日新聞:「園児死亡なら職員に箝口令 愛媛の保育園」

 
愛媛県の東予地区にある社会福祉法人の運営する保育園が、乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策マニュアルの中で、園児の死亡事故が起きた場合は職員へ箝口(かんこう)令を敷くようにしていたことが、県の監査で分かった。また、東予地区の二つの社福法人の運営する高齢者介護施設では、入所者の死亡事故を県条例通り適切に報告していなかったことも判明。県はいずれについても改善を求めて指導した。

 毎日新聞の情報公開請求に県が開示した監査に関する文書によると、社福法人が運営する東予地区の保育園で使われているSIDSマニュアルには、園児が死亡する事故が起きた際の職員の対応として、「(死亡事故についての)発言を一切控える(箝口令)」と記載されていた。

 県は「組織的に情報発信を止めるのではなく、透明性の確保のため正確な情報発信に努める」ことを求め、マニュアルは不適切として改善を求めた。

 県は条例や内規で、子どもや高齢者などが利用する施設などで死亡などの「重大事故」が起きた場合は、市町だけでなく県にも報告するよう定めている。

 しかし、別の社福法人が運営する老人ホームでは、入浴中に心筋梗塞(こうそく)で入所者が死亡する事故が起きたのに、県に事故報告書を提出していなかった。さらに別の養護老人ホームでも、心筋梗塞による死亡事故を市には報告したが県には報告していなかった。

 一方、県の文書によると、県は2016年4~10月、中核市の松山市にある施設を除く県内100の社福法人に定期監査を実施。事故に至らなかったものの、あと少しで事故になっていた「ヒヤリハット」の事案を報告書にきちんとまとめていなかった施設もあり、指導した。「事故に至るリスクを把握して事故を未然に防ぐため、ヒヤリハットを拾い上げる職員の意識向上を図ること」を求めた。