第一回口頭弁論吉川豊 意見陳述書

第一回口頭弁論

H25年10月15日
愛媛県 
松山地方裁判所 西条支部
第1号法廷にて 午後2時~

意見陳述書を掲載させていただきます。

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意見陳述書

原告 吉川豊

まず始めに私が申し上げたいことは、近藤惠津子被告、村上玲子被告、別宮瑠美被告、越智亜里被告、石川正子被告、篠田ひとみ被告、寺西香代子被告、藤井さおり被告、レチョン・ハビエル・ヘルナンデス被告、そして被告学校法人ロザリオ学園に、
「息子を返せ」
「元気な慎之介を目の前に連れてこい」
と言いたいです。

言葉は悪いですが、正直なところ、このような気持ちでおります。

事件後、一年以上経過しておりますが、私達夫婦の深い心の傷は、未だ癒されることはなく、精神的苦痛を強いられる毎日です。
また、この事は私達だけに言えることではなく、慎之介のおじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん、いとこのお兄ちゃん、お姉ちゃん他すべての親族が同じ気持ちであり、深い悲しみ、苦しみを強いられる日々が続いております。

この訴訟を提起した理由は、お金が欲しいからという理由ではありません。

金銭を請求する以外に方法がなく、致し方なく行っているだけであります。

被告らが私達に対して心から謝罪の念を抱き、誠意ある対応をしていれば、このような行動は起こさなかったかもしれません。

しかしながら、被告らが私達遺族に対して行ってきたことは、今までの悲しみや苦しみを更に増幅させるものであり、この事件と向き合うことなく、何事もなかったかのような対応を取り続けていることです。

「西条聖マリア幼稚園に入園させなければ」、
「被告らに慎之介を預けなければ」、
「被告らが、こんなにも幼い命を粗末にする、いい加減で、杜撰な幼稚園経営をしている、という事実を知っていれば」。

この後悔の気持ちは、今でも自分自身の中で大きく残っております。

愛する息子は、もう帰ってきません。この手で抱きしめることもできません。

私がこの裁判において望むことは、あの時何が起こったのか、なぜ慎之介が死ななければならなかったのか、事件の徹底的な原因究明を行ない、さらには、被告らがこの事件をどのように捉え、これをどのように言い訳をし、どのような態度を取って責任から逃れようとしたのか、といったことを、私達をはじめ、世間に明らかにし、さらには、判決という公文書に刻みつけ、未来永劫、慎之介の死とこれに関わった者たちの愚かで下劣な行為を、直視いただくことであります。

ロザリオ学園現理事長であるホアン氏が学園理事を務めていた時に、私達宛に文書が送付されてきました。
そこに書かれていた内容は、
「私は、正義を求めて、当園の園児である吉川慎之介君が亡くなられた直接、間接的な原因と、その状況を詳しく知りたいのです。慎之介君の事故に関わる人の責任については、今後、私も厳しく、必ず追及したいと思います。」という内容でした。

しかしながら、文書が送付されて一年以上が経過している現在に至るまで、原因分析に関する報告は一切なく、何を、どのように追及したのか全く分からない状態が続いております。

自らが起こした事件についての重大な約束を守れない。
このような組織が本当に学校法人を運営できると言えるのでしょうか。

この事件は単なる川の事故ではありません。
足もとの不安定な、流れの速い川に浮輪や救命胴衣を一切持つことなく、無計画のまま幼い子供達を連れて行った被告らの考えが、未だに私には理解できません。
子を持つ親であれば誰でも子供の安全を第一に考えることは当然でありますが、被告らはなぜこの様な行動を取ったのでしょうか。
自分の子供に対しても同じような行動が取れたのでしょうか。

昨年の8月に開催された保護者説明会の時に配布された「保護者説明会資料」の中で、「お泊り保育についての事態改善報告書」に記された被告らの反省点と記載された部分を見ると、このようなことが説明されております。

「川への危険に対する認識不足により準備物が十分でなかった」――なぜか。
「当日、現地の天候、降水量を午前中に調査不足であった」――なぜか。
「水深は調べたが滑りやすい石の箇所や岸へ渡るルートなど十分な下見が出来ていなかった」――なぜか。
「川遊びの監視が減るとともに責任者である教師が園児から離れてしまった」――なぜか。
「救助する道具を準備していなかった」――なぜか。
「教師・園児が救命胴衣を装着していなかった」――なぜか。

どの内容についても、その理由が何なのか、なぜそのような行動になってしまったのか、全て説明されていないものばかりです。

この内容で本当に遺族や保護者に対して説明責任を果たしたと言えるのでしょうか。

私は、被告らから納得できる説明がなされるまで、その原因を徹底的に追及していくつもりです。

慎之介の死を無駄にすることなく、また、二度と同じような事件が起きることがないよう、そして、全ての子供達にとって安心・安全な学校生活が送れるよう、そのような社会がいつの日か訪れることを心より願っております。
以上

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