幼稚園プール水死:横浜地裁初公判 元教諭、過失認める
毎日新聞 2013年12月12日 22時11分(最終更新 12月12日 22時15分)
神奈川県大和市の学校法人西山学園「大和幼稚園」の屋内プールで2011年7月、園児の伊禮(いれい)貴弘君(当時3歳)が水死した事故で、業務上過失致死罪に問われた元担任教諭、平(たいら)有紀江被告(23)=相模原市南区=は12日、横浜地裁(毛利晴光裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を認めた。
起訴状によると、平被告はプール(直径4.75メートル、水深約20センチ)で水遊び中の園児11人を1人で見ていたが、監視を怠って貴弘君を水死させたとされる。
検察側は冒頭陳述で、幼児のプール活動について「水深が浅くても水死する可能性があり、常に監督する必要がある」と述べた。
当時の園側の安全対策に関し「国が定めた『プールの安全標準指針』の通知を受けながら、教諭らに教育をしていなかった」と主張。平被告も事故防止訓練を受けておらず、遊具の片付けで被害者から目を離したと指摘した。
被害者参加制度を利用して出廷した貴弘君の父康弘さん(39)は公判後、「真相を明らかにして再発防止につなげることが親の役目だ」と話した。
事故では元園長の西山淳子被告(66)も同罪で在宅起訴された。
公判は分離され、西山被告側は「安全対策を指示する法的義務はなかった」と無罪主張する方針。
【飯田憲】
◇文科省 再発防止で第三者委設置の方針
文部科学省は来年度、幼稚園と小中高校、特別支援学校の管理下で起きた重大事故について、再発防止に向けた第三者委員会の設置を検討する方針を決めた。
学校での子どもの死亡事故を巡っては原因調査を行う仕組みがなく、保護者から検証組織の必要性を訴える声が上がっていた。
今後、全国の市区町村教委から事故後の対応の実態を聞き取り、保護者への説明責任など学校の危機管理の在り方を示したい考え。
日本スポーツ振興センターによると、学校での事故などで子どもが死亡し、災害共済の見舞金が支払われた件数は2011年度で82件。
死因別では突然死38件、頭部外傷13件、水死6件と続いた。
近年、学校側の事故対応に不信感を抱く保護者が少なくない。
神奈川県大和市の幼稚園プール事故で長男を亡くした伊禮(いれい)康弘さん(39)もその一人だ。
このため文科省は、市区町村への調査結果を基に有識者会議を開き、第三者委員会による事故調査制度の導入、危機管理方法などを検討する。
【飯田憲】