とても残念なニュースに目が留まりました。
しかし、このような対応への問題提起が新聞社から発信されるということは、
世論が動き始めているということを感じます。
事故は無かった事には出来ません。
遺族は責任問題と向き合うだけではなく、再発防止・事故予防についても
「二度と同じことを繰り返さないために」という思いで活動を続けています。
教訓をいかすということを、遺族だけではなく、全ての当事者・関係者が
共に考えなければ、社会全体へ繋がりません。
記事にある研修はこれから開催されるものです。
有意義な研修になることを、心から願います。
遺族の講演、県教委拒否 運動部顧問向け研修会:滋賀
2017年6月17日:中日新聞
記事より・・
県教委が、県内の中学、高校の運動部顧問らを集めて二十日に行う体罰防止研修会で、二〇〇九年に柔道部の練習中の事故で死亡した愛荘町秦荘中の村川康嗣(こうじ)さん=当時(12)=の母弘美さん(49)の講演を拒否していたことが分かった。県教委は、村川さんが元顧問らを相手に起こした訴訟が継続中だと誤解していたといい、担当者は「村川さんが参加することで、県教委に何らかの影響があると思った」と話している。
研修会は、部活動中の不適切な指導を防ぐため、県教委が県内の中学、高校の運動部顧問らを対象に年二回開いている。今回は学校での事故に詳しい日本体育大の南部さおり准教授が、運動部における安全指導について二時間講演し、村川さんは南部准教授の依頼で、その講演の中で十五分ほど話すとしていた。
県教委によると、南部准教授から学校での事故を研究する関係者の参加を希望され、五月に了承したという。しかし、今月末に南部准教授の企画で開かれる日体大の学生向けの研修会で村川さんが講演することが分かり、県教委の研修会へ参加する関係者の中に村川さんがいるかどうか、南部准教授に照会。参加が分かったため「(訴訟が)終わっていない」ことを理由に断った。
その後、県教委は訴訟が終わっていたことを知ったが、「当初から計画になかった」として村川さんの講演を拒否。研修会への参加を認めるものの、出席者から質問があっても、村川さんの発言の機会を認めないとした。
県教委の担当者は「村川さんに話してもらうのがまずいということではない。今後、事故防止の観点で研修会が開かれるのであれば、講演の可能性も考えられる」としている。
南部准教授は「教育委員会に、村川さんが話す原稿を事前に確認してもらってもいいと打診したが、だめだった。過敏になっているのではないか」と戸惑う。事故の再発防止を願い、各地で講演活動をしている村川さんは「参加はOK、話はだめというのであれば、事故から学ぼうという姿勢がないように感じられ残念だ」と語った。
<愛荘町秦荘中の柔道部員死亡事故>
2009年7月、1年の村川康嗣さんが、柔道部の練習中に意識不明となり、1カ月後に急性硬膜下血腫で死亡した。村川さんは、実践形式で技を掛け合う「乱取り」の練習中、上級生に繰り返し投げられた後、元顧問にも投げられ意識を失った。県警は12年3月、元顧問らを傷害致死容疑で書類送検したが、大津地検は13年7月と14年7月に不起訴とした。損害賠償を求めた訴訟では、町の責任は認められたが、元顧問の責任は最高裁で退けられた。
◆各地の教委は…
部活動の顧問らを集めた研修会は、各地の教委が毎年開催しており、近年は被害者の家族や遺族から課題や教訓を直接聞いて学ぶケースも増えつつある。
長野県教委は昨年十月、事故対応のあり方を考えるシンポジウムを開き、二〇〇七年に兵庫県立高校のテニス部の活動中に熱中症で倒れ、重い障害が残った元生徒の家族をパネリストとして招いた。県教委の担当者は「学校事故を減らす観点から見て、被害に遭った人や専門家らの意見は必要だ。話してもらうことで防止につながる」と話す。
名古屋市教委は、向陽高柔道部の練習中に亡くなった倉田総嗣さん=当時(15)=の事故から毎年、武道の安全指導研修会を開催。一四~一五年、倉田さんの母久子さん(56)が講演し、市教委によると、九割以上の参加者から好評だったという。久子さんは「被害者自身の言葉は、何より強い訴えになる」とし、今回の滋賀県教委の対応について「話の意図も理解しないうちに、県教委が講演はだめと言うのはどうなのか」と疑問を呈す。
兵庫県内の中学校でラグビー部の活動中に熱中症で息子を亡くした、全国学校事故・事件を語る会の代表世話人の宮脇勝哉さん(59)は「再発防止のために遺族の話を聞いてもらったら、指導者は身につまされると思う。すべて訴訟は終わっているのに、遺族が話すことに対して、何か支障があるのか」と憤った。
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