4月27日、学校安全管理と再発防止を考える会の勉強会にて、水の事故や保育・教育現場における安全危機管理・意識について、有識者の先生方からお話を伺い、議論を深めました。
H26年6月27日、28日付けで朝日新聞より熱中症と水の事故について、注意喚起記事が連載されました。
プールや川遊びに関しては、神奈川県大和市の私立幼稚園のプール活動中に水死した伊礼貴弘君の事件と学校法人ロザリオ学園西条聖マリア幼稚園のお泊り保育中、川で溺死した吉川慎之介君の事件を例に勉強会での議論が反映されています。
毎年、繰り返され続けている事故は、大人の安全に関する意識と知識で防ぐことが出来ます。
大人を信頼し指示・指導に従う子供達を危険にさらし命が奪われるようなことがあってはなりません。
子供の安全に対する過信、見逃し、見守りを改めて見直していきたいと思います。
■朝日新聞(2914年6月28日記事より)
(夏の事故を防ぐ 子どもとスポーツ第8部)周りの大人、見守りが大事
「事故が起きるかもしれないという意識が薄すぎる」。神奈川県大和市の伊礼康弘さんは唇をかむ。2011年7月、同市の幼稚園で、プール活動中に長男貴弘君(当時3)が水死した。
■プールや川遊び
目を配る注意義務を怠ったとして、今年3月に業務上過失致死罪で横浜地裁から有罪判決を受けた幼稚園の元担任は事故当時、プールに背を向けてビート板や浮輪の片付けをし、目を離した時間帯があった。同僚の声で気づいた時、貴弘君は水深約20センチのプールでうつぶせで倒れていた。
担任は裁判で「園からは園児が楽しく過ごすためのアドバイスはあったが、安全指導はなかった。短大でも安全管理について教えられていない」と証言した。
「幼稚園や学校は、楽しさばかりを重んじ、命の大切さを重んじていないのではないか」
伊礼さんは根本的な問いを投げる。この事故では、当時の園長も同罪で起訴されている。
プール活動だけでない。12年7月には、愛媛県西条市の幼稚園のお泊まり保育の中で、昼間に川遊びをしていた吉川慎之介君(当時5)が水死した。
父の豊さんと母の優子さんは「自然は良いものというイメージの裏にある、本来の自然の怖さへの認識が薄い」と訴える。
事故当時は好天だったが、数時間前ににわか雨が降った。川には泥水が流れ、遊んでいるうちに水位は園児たちの胸の辺りまで上がった。自分で岩に登ったり、園の教諭や近くの大人に抱えられたりした子がいる中、慎之介君は教諭の1人や4人の園児らと流され、150メートル下流で引き揚げられたが、死亡した。幼稚園側は浮輪などの救命具を準備していなかった。
この事故では、当時の園長ら3人が、増水を予見できたにもかかわらず安全対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で松山地検に在宅起訴され、今も公判が続いている。
両親は損害賠償を求める民事裁判も起こした。被告の幼稚園側は「増水は予見できなかった」と主張している。
「長年、同様の行事を実施してきて事故が無かったからと、安全への過信がなかったか。水の中は大気の中と違うことを大人が意識しないといけないのではないか」と両親は話す。
■浅い場所も注意
人口動態調査によると、09年からの5年間に499人の子ども(14歳以下)が不慮の事故で水死している。
溺れているかどうかは、周囲が意識して見守っていないと見つけにくい。
日本ライフセービング協会指導員の佐藤洋二郎さんは「目撃例をまとめると、浮力を保つために手を下ろし、息をしようと口をパクパクしながら上に向けている動作が多い」。
叫び声を上げたり、水面を手でバシャバシャしたり、という一般的に持たれるイメージとは異なるという。
「周囲の大人は遊んでいる子から目を離さないことが大事。泳いでいる様子を見せていない時は溺れていると疑った方がいい。子どもは水を飲むとパニックを起こすので、水が浅いところや足がつくところでも持つべき意識は同じ」と警告している。