平成28年2月3日、4日、5日証人尋問が行われました。

2016年平成26年2月3日、4日、5日
松山地方裁判所で証人尋問が行われました。
(事件番号:平成26年(わ)第81号)

刑事裁判の証人尋問、前半3日間が終了しました。
11名の方々が愛媛県内をはじめ、中四国、関東や関西など、
遠方からも、この裁判のために証人として出廷をして下さいました。
皆さん、検察官や弁護人の質問に、誠実にこたえていました。

2月3日は、石鎚ふれあいの里へ観光に来ていた方2名と、
ふれあいの里のスタッフ2名の証人尋問が行われました。
事故当日、現場で通報や救命救助・捜索活動をしてくださった方々です。

慎ちゃんを発見したふれあいの里スタッフの方は、
川に沈んでいた様子について、目を閉じ、
言葉を選び一生懸命に説明して下さっていたのですが、
その後ろに見えた近藤被告元園長は「居眠り」をしていました。

村上玲子被告、越智亜里被告は、
慎ちゃんがうつ伏せの状態で沈んでいたところを引き上げ、
人口呼吸をしたが自発呼吸は見られなかった、
先生たちは誰もいなかった、という話についても、
真摯に耳を傾けるわけでもなく、表情一つ変えずに、ひたすらメモをとっていました。

救助活動をした4人の証言と当日の写真などから、
引率教諭は8人いたわけですが、誰一人、通報も救助活動も何もしていない事や、
川の中で遊ぶ範囲を定めず、子どもたちを深い場所でも
バラバラに遊ばせている状況などが明らかになりました。

証人の方々が、あの日、あの場にいなかったら、
被害はもっと大きなものになっていたはずです。

2月4日は、天候や川遊びの準備、増水のメカニズムについて等、
客観的な証拠についての証人尋問が行われました。

松山気象台の職員の方には当日の天気予報や大気の状態などについて、
事故当日、石鎚山で登山をされていた方からは、
山頂付近で激しい雨が降った状況について、
河川財団の方からは、川遊びの注意事項とライフジャケットや準備の重要性について、
愛媛大学名誉教授で水文学専門の先生からは、
川の増水メカニズムについて、尋問が行われました。

平成24年7月29日に事故当時とほぼ同時刻に、
ふれあいの里で現場の加茂川が増水する様子を撮影することができたのですが、
水文学の先生が証言の中で、この動画資料について触れられました。
29日の測水データから24日と同じような増水が発生したであろうという事が、
データグラフから確認することができたとの事でした。
29日の動画資料を確認していただけいたことが、遺族としては有り難く思いました。

この2日間の証人尋問から、
当日の様子と状況が明確になりました。

2月5日は、気象協会の職員の方から天気予報について、
西条市立ひまわり幼稚園の元園長からは、
ふれあいの里でのお泊まり保育の準備状況、中止の判断、
職員間での情報共有などについて、
同志社女子大の教授からは、幼稚園教諭の養成課程のシラバスについて、
幼稚園教諭に求められる安全に関する知識や意識について、
証人尋問が行われました。

西条市立ひまわり幼稚園の元園長先生は、
子どもたちの安全を第一に考えていることや心優しい人柄がにじみ出ていました。
先生の証言から、マリア幼稚園のお泊まり保育の準備や計画の杜撰さが明確になりました。

同志社女子大の先生は、被告側の証人でしたが、大変、勉強になりました。

幼稚園教諭が子どもの安全を守るというのは当然の事であり、
保育活動の安全を考える際、主に、園内、園庭での安全確保が大前提で、
自然活動という場合は、園内で植物を育てたりすることなどがそれにあたり、
園外活動というのは、近所の公園など管理できる範囲でしか行えないと考えていて、
川や海などでの活動は、園児にとって想定されるリスクが大きく広すぎるため、
そもそも、保育の中で、管理できないような活動を行うことは想定していない、
というような説明がなされました。
保育活動として、川や海などでの活動をするという点については、
もし、行うとした場合は、地域の方々や保護者も一緒に
多くの大人たちの見守りがあってということでなら
有り得るかもしれない、というような説明もありました。

幼稚園教諭の使命とは、子どもの命を守り育むことであることが
一番大切にしなければならない理念であることを、
改めて、理解できたように思います。
子どもたちにとって、安全で適切な環境を整えるのは大人の責務です。
それぞれの立場、役割の中で、責任を持って対策を講じるということは当然の事です。

次回は2月18日です。
ふれあいの里責任者、お泊り保育引率教諭で元担任の寺西佳代子氏、
慎之介が沈んでいく姿を最後に見た篠田ひとみ氏の尋問があります。
被告側証人として、大阪市大の教授からは、
「後知恵バイアス」というものについての説明がなされるようです。

傍聴席も法廷です。
民事裁判の際にいつも来ている
学校法人ロザリオ学園の事件担当者と言われている方が
傍聴席で、白い歯を出して談笑している姿や
近藤惠津子被告の「居眠り」をしている姿からは
事件に対する誠実さなどは感じられず
心が痛みました。

このような些細なことを気にしたくなくても
遺族にとっては、すべてが悲しい現実です。

証人として出廷してくださった方々は、
誠実な方ばかりでした。
被害者参加人として、身の引き締まる思いです。
私も、誠実に向き合います。