第九回口頭弁論期日

第九回口頭弁論期日
H27年10月1日(水)14時00~
愛媛県松山地方裁判所 西条支部
口頭弁論準備が公開の法廷で行われました。

次回第10回口頭弁論期日は
12月25日(金)14時からとなりました。

西条聖マリア幼稚園の先生方とロザリオ学園からは
「幼稚園の先生は、川遊びについて習っていないし
 増水のメカニズムも分からないのだから予見などできるはずもなく責任は無い」
「ふれあいの里のスタッフに救助をすぐに依頼をした」
「ふれあいの里にもライフジャケットは備え付けらていなかった」
との主張がなされました。

準備書面(9)証拠に基づく主張(PDF)

 
今回、証拠として、田中哲郎先生の「保育園における事故防止と安全管理」が提出され
川遊びの際の自然災害に関する記載はないという事、
他にも、鈴木洋先生の「こんなときどうする?子どものけが」の中でも言及は全くないという事、
幼稚園教育要領からも、幼稚園の教諭に対し安全確保、災害予防の専門性などは要求されていない
という主張がなされました。

「保育における事故防止と安全管理」田中哲郎(PDF)

「こんなときどうする?子どものけが」鈴木祥(PDF)

幼稚園教育要領(PDF)

 
知らないことや、習っていないことは、むしろ、実施すべきでないと思います。
習っていないと主張することを実施するのなら、しっかりと調べて学びを深め対策をとらなければなりません。

今回、浮き輪は救命具ではなく遊具であるなどという反論もありましたが
何も準備をせずに、観光客の方の浮輪で救助していただいたにもかかわらず
こういった主張がなされてしまう事は、とても残念で悲しくなります。
司法の中で向きあうとはこういう事なのでしょうか。
最後まで、この問いを持ち続けることになると思います。

以下、代理人浅野晋弁護士、山本雄一郎弁護士の報告書から
今回の期日の内容をご報告をさせていただきます。

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学校法人ロザリオ学園9名に対する件について、去る10月1日、
弁論期日が開かれました。
今回は、前回までの弁論期日と異なり、公開の法廷で行われました。
原告は、吉川夫妻を含め5名、代理人弁護士2名が出席しました。

  1. まず、当方から準備書面(9)の陳述を行いました。
    被告側準備書面(7)(8)および(9)の陳述がありました。
    また、被告側から未提出扱いになっていた準備書面(4)の陳述もなされました。
    一方で、準備書面(5)は陳述しないとのことでした。
    この準備書面(4)と(5)は、以前、天候の関係で被告側の代理人が期日に出席できなかったことの関係で、未提出の扱いとなっていたものについて今回の期日で、被告側代理人が陳述するか否かを明らかにしたものです。
      
    なお、準備書面の「陳述」というのは、当該の純義書面に記載されている事項お審理の対象にする手続きです。「陳述」としない場合、その準備書面は手続上、裁判所に提出しなかったのと同様に取り扱われます。

  2. その後、裁判官から双方の代理人に対し、今後の主張・立証の予定について質問がありました。
    当方からは、被告側準備書面(9)に対する反論を行う予定であること、刑事裁判が始まった後に刑事事件の記録を証拠として提出する予定であること、および、増水の様子を説明するための資料として平成27年7月18日に実施した現地調査の動画に説明を付して提出する予定であることを述べました。

  3. さらに、裁判官から私達に対し、本件事故で増水が起きた科学的根拠を、土木工学・河川工学の観点から明らかにしてほしい、との要望が再度なされました。
    当方からは、刑事裁判の記録を見ることにより、増水の科学的根拠を理解する事が可能であるから刑事裁判の記録を証拠提出することによる立証を考えている旨、述べました。
    そして、刑事裁判の審理が終了するのが平成28年3月頃の予定であることを伝えました。

    そうしたところ裁判官は、刑事裁判の記録を待っていると民事裁判の進行が遅くなるため裁判所が「専門委員」を選任し、この「専門委員」に増水の科学的根拠について検討・判断してもらう事も考えていること、および、「専門委員」としてふさわしい人物がいたら 推薦してほしい旨述べました。

    そこで、私達は裁判官間に対し、専門委員として相応しい人物について検討する旨、回答しました。

    なお、この「専門委員」とは、心理に必要な専門的知見を裁判所に提供するための専門家であり
    当事者の意見を聞いた上で裁判所により指定されます。

  4. 以上のやり取りの結果、平成27年11月20日までに、当方が、被告側準備書面に対する反論の準備書面と平成27年7月18日に行われた現場検証の動画を提出することとなりました。
    また、当方が準備書面を提出した後、被告側からの反論が行われる予定です。

  5. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    責任追及は、とても苦しいことです。
    でも、目をそらすことのできない現実です。
    親としての責任についても、自問自答は続いています。
    私達や保護者は当初、裁判についてなど考えてもいませんでした。
    事故直後から、先生方に説明を求めていただけでした。
    「責任」を「訴訟」としてしか受け止めず、そういった「責任」を過度に恐れ、
    「何もお話しできません」「自分が話すことで他の先生に迷惑がかかる」としてきた姿勢からは
    大切なことを見失っているとしか言わざるを得ません。
    私達保護者と一緒に、幼稚園をたてなおしましょう、と伝えましたが
    思いは届くことなく、現在に至ります。

    責任を認めること=事故と真摯に誠実に向き合うことだと思います。
    子ども達が危険に晒され傷つき、
    慎之介は5歳10か月で亡くなったという事実は何も変わりません。
    この重大な結果は、何よりも重いことなのです。
    裁判はいつか終わります。
    事実からは逃げることが出来ない現実を
    どのように受け止め向き合うのかという事が問われているのです。
      
    刑事裁判は12月24日から始まります。