赤ちゃんの急死を考える会が保育・教育施設等の事故について要望書を提出

H27年3月2日 産経新聞:保育施設事故「すべてを報告対象に」遺族らが要望書

 

赤ちゃんの急死を考える会では
「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策さに関する検討会」の中で
事故再発防止や事故報告・調査に関する議論が始まっていることから、
当事者家族として要望書を提出しました。

赤ちゃんの急死を考える会

 
発生した事故情報だけではなく
行政や保育・幼稚園、学校などで、再発防止や事故予防の取り組みを
積極的に行っている事例でさえも、情報共有されないのが現状なので
「情報収集・共有」の仕組を構築してくことは重要な課題だと思います。

関連記事:要望書

H27年2月25日 朝日新聞朝刊学校の重大事故、調査委設置2割
-文科省、初の報告書-

H27年2月25日 朝日新聞朝刊
「学校の重大事故、調査委設置2割 文科省、初の報告書」

関連記事:朝日新聞デジタルwebサイト

 
2005年~13年度、過去8年間の間に起きた重大事故832件。
このうち死亡事例は337件。慎之介もこの中の一人です。

事故の原因究明を行ない、再発防止と予防に活かすという事。
当たり前に行われていると思っていましたが、現状は違いました。

警察が捜査するという事と、ここでいう事故調査は全く性質が違います。
警察の捜査は、事件性の有無、刑事罰を問えるか問えないか。
事故調査というのは、原因を究明することにより、再発防止と予防へと繋げること。
当然、責任の所在、責任追及の問題も同時に発生します。
この部分を切り離して考えることは出来ませんが、
事故が起きてしまった時
訴訟を見据えた対応をするのではなく
真摯に受け止め子どもと遺族と保護者と
誠実に向き合ってほしいと思います。

事故の検証は、社会のために、子ども達のためになる
保育・教育現場で発生した事故は、私的な問題ではなく公的な問題あるという事を
社会全体で認識してほしいです。

文科省の「学校事故 対応に関する調査研究」有識者会議
第三者事故調査委員会についての在り方や
不誠実な事後対応による問題の深刻化などについて議論を深めてほしいです。
内閣府では「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」の中で
事故調査の義務化について議論がされています。
縦割りではなく、子どもの安全は包括的に考えるべきことだと思います。
本来ならば、一本化していただきたいところですが
事故事例も遺族も多様だという事を理解し偏ることなく
子ども達一人一人の命を尊重し、どちらも、有意義な会議にしてほしいと思います。

関連資料:2015年2月24日 朝日新聞「学校の重大事故調査委設置2割 -文科省初の報告書-」

1月23日付 神戸新聞部活事故逆転勝訴 両親「学校は安全な場所であるべき」

兵庫県立龍野高校(たつの市)に通っていた2007年5月、テニス部の練習中に倒れ寝たきりになった同県太子町の女性(24)と両親が県を訴えていた裁判で、22日の大阪高裁判決は学校側の責任を明確に認めた。学校や教育委員会の対応に不信を抱き、真相解明を求めて提訴し5年。両親は判決後、「学校は安全な場所であるべきだ」と声をそろえた。

女性が倒れたのは中間試験の最終日。11日ぶりの部活だった。顧問は途中で現場を離れ、キャプテンを任されたばかりの女性は顧問の指示で練習を引っ張っていたが、最後のランニング中に倒れた。

二審判決では、女性は熱中症で倒れたとした上で、「顧問は密度の高い練習メニューを女性に指示する一方、水分補給や十分な休憩時間を設定しなかった」などと指摘。
事故による深い絶望感や介護の負担などを考慮し、両親への慰謝料も認めた。

今回の裁判では事故後の学校側の対応も問われた。

一審神戸地裁判決は、当時の校長が事故の半年後、育友会の役員会で「倒れたのは心筋炎という病気。それなのに両親はお金のことばかり言うなど、無理難題を突き付けられ困っている」と発言したと認定。「学校長の発言に配慮に欠ける点は否めない」と指摘した。
その判断は二審でも変わらなかった。

両親によると、校長の発言を受け「子どもは病気で倒れたのに、学校からお金を取ろうとしている」-といううわさが広まったという。

この日の判決後、父親(52)は「親子で学校に苦しめられた。学校は安全な場所であってほしい」と語った。

女性は今も寝たきりで話ができず、目も見えない。床擦れを防ぐため、2時間おきに体位をかえるなど24時間態勢の介護が必要だ。母親(52)は「これからは100%の時間を介護に使える。家族で支え合っていきたい」と娘を思いやった。(紺野大樹)

【住友剛・京都精華大教授(教育学)の話】
学校側の責任がはっきりと認められ、評価できる判決。判決を機に、顧問がいない場合でも安全に過ごせるよう、学校は教師と子どもに熱中症をはじめとする事故防止の意識を徹底させるべきだ。
両親への損害賠償が認められたのは、子どもが学校でいじめや事故に遭った保護者たちが積み重ねてきた活動の成果だろう。学校への不信感は説明、謝罪、再発防止策が不十分なことから生じる。問題が起きた際の対応には被害家族の視点を取り入れるべきだ。

意義ある判決だと思います。
事実を真摯に受け止めてほしいと切に願います。
社会全体で子ども達の安全を守ること、命を育むことについて
真剣に考えていかなければならないと思います。

第七回口頭弁論期日につきまして

第七回口頭弁論期日
12月17日(水)13時30分~
愛媛県 
松山地方裁判所 西条支部
第1号法廷にて
・・・・・
12月17日、開廷されるはずでしたが、
この日は、寒波の影響で瀬戸大橋が通行止めとなり
ロザリオ学園と引率教諭達の代理人弁護士が大阪より出廷できず
3月18日へ延期となりました。
被告たちは全員愛媛在住なので、誰も出廷しないというのは、とても不自然で違和感を感じている
というのが正直な感想ですが、民事裁判では全くおかしなことではなく
一般人としての常識は法廷の場において「常識」ではないようです。

提訴してから1年3か月が経過しましたが、まだ、準備書面のやり取りが続いており
双方の主張は平行線のままで、争点すらずれている状態にあります。
私達原告側は
「安全危機管理体制の不備、適正な準備・保護者への正確な説明、幼児に相応しい場所の選定」などについて、
教諭ら被告側は
「増水した川が悪いのであって、準備などの問題ではなく、急な増水を予見することは出来なかったのだから。」
という主張が続いています。
裁判長からは、予見可能性に関する科学的根拠を双方に示すように言われました。

東京から、愛媛県西条市まで丸一日かけて出向いている状況にあります。
東京地裁で提訴することもできましたが、これは西条で発生した事件、、、
風化させないためにも、愛媛でという思いで松山地裁西条支部を選択しました。

刑事でも元園長ら引率教諭3名が起訴され、私達は被害者参加制度を利用していますので、
今後、松山地裁で開かれる刑事裁判へも出廷いたします。
まだまだ続く裁判を考え、経済的な負担も考慮し、刑事、民事ともに向き合うために
代理人弁護士とも相談し、次回以降の期日等について考えています。
次回からの民事裁判は公開法廷から弁論準備とし、被告尋問までは非公開とさせていただくことになりました。
民事の方は、双方代理人が遠方の為、電話での出廷も許されるとの事で、
今回のように、天候に左右されてしまうこともありますので、
合理的に進めていこうと思っています。

民事裁判とは、代理人によって、大きく左右されるものです。
法律の解釈、ルールに従い、感情は排除され、それでも限りある中で思いや考えを伝え
立証責任は原告側にあるので、私達は証拠などを一生懸命提出し
それに対して、被告側は、違うだとか、争うだとか、知らないだとか、もう謝っただとか
そういった書面が提出される・・その繰り返し。
このようなやり取りを客観的な立場である裁判官たちが審議し、私達は、その判断を仰ぐ。
民事裁判というシステムに関し、まだまだ勉強が必要だと感じていますが、
真実の追及、被害者救済という観点から
この経験を無駄にすることなく、民事裁判の在り方について、
私自身の意見、考えを発信できるようになりたいと思っています。
これからも、この現実、現状と真摯に向き合い、誠実な対応をしていくという考えに
何も変わりはありませんでの、一歩一歩、踏みしめていこうと思います。

刑事裁判につきましては、公判前整理手続中で来年の春以降
どの時点で公判が開かれるか未定ですので、決定次第ご報告させていただきます。

これまで、傍聴へ足を運んでくださいました皆様
期日の度に、思いをはせてくださいました皆様
本当にありがとうございました。

民事裁判の傍聴は、少しお休みとなりますが、
裁判を通じ事件と向き合うことについては、まだまだ続きますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

H27年2月・3月に「子ども安全管理士講座」を開講いたします

一般社団法人吉川慎之介記念基金からのお知らせです。
 
H27年2月、3月に「子ども安全管理士講座」を開講いたします。
詳細は、下記サイトをご覧ください。

「子ども安全管理士講座」Webページ(一般社団法人吉川慎之介記念基金)

 
子どもの安全を、多くの方と一緒に学び考えることができる講座となっております。
何卒よろしくお願い申し上げます。

平成26年11月12日ロザリオ学園と西条聖マリア幼稚園、当時の引率教諭らの調査協力依頼への対応について

慎ちゃん委員会は、事件と真摯に向き合い、誠実に調査・検証を行っています。
ロザリオ学園と西条聖マリア幼稚園、引率教諭8名から「民事・刑事係争中の為、協力できない」という返信を受け、慎ちゃん委員会が声明文を発表しました。

11月12日、ロザリオ学園と西条聖マリア幼稚園、当時の引率教諭らの調査協力依頼への対応について

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H26年11月12日 共同通信

園児溺死で面談調査拒否
「幼稚園側、係争中理由に」

 愛媛県西条市で2012年7月、私立西条聖マリア幼稚園のお泊まり保育中に
吉川慎之介(よしかわ・しんのすけ)ちゃん=当時(5)=が川に流されて死亡
した事故で、遺族らがつくった有識者による事故調査委員会が面談調査を要請し
たが、幼稚園側が拒否していたことが12日、調査委関係者への取材で分かった。
民事、刑事双方で裁判が係争中であるためとしている。
 関係者によると、調査委は10月、事故原因を特定するため、引率教員や当時
の園長、幼稚園を運営するロザリオ学園(松山市)関係者への面談調査に応じる
よう要請した。
 しかし11月にロザリオ学園の代理人の弁護士が「原因などは裁判の争点とな
るため、応じることはできない」と通知した。教員らに直接接触することも控え
るよう要請した。
 調査委は京都精華大の住友剛(すみとも・つよし)委員長(教育学)ら学識者
や弁護士の3人で構成されており「原因の特定は再発防止にも必要不可欠なのに、
問題を法的論点のみで考えており、非常に残念」とする声明を出す方針。

『愛媛大学法文学部開講科目「紛争と裁判Ⅱ」特別講演会』のお知らせ

愛媛大学法文学部開講科目「紛争と裁判Ⅱ」特別講演会
「大川小学校津波被災事件と遺族の「問い」~真相究明と教訓化の狭間から~」

 
日時:2014年11月25日(火) 14時30分~16時00分(会場14時)
会場:愛媛大学南加記念ホール

講師:佐藤敏郎氏(大川小事件遺族当事者)
    加藤順子氏(フォトジャーナリスト)
 
※事前申し込み不要

詳細はこちら(PDF)

H26年9月16日第六回口頭弁論期日

H26年9月16日
第六回口頭弁論期日が終わりました。

今回、体調不良の為、吉川優子は欠席となりましたが
次回期日は、出廷いたします。
傍聴へお越しくださった皆様。
ご心配をおかけしました。
ありがとうございました。

刑事裁判の公判は未定で、公判整理手続きが続いている中
民事でも大きな進展はありません。

刑事では被害者参加制度を利用しますので、捜査資料の閲覧をしています。
供述書という形でしか先生方の言葉を得られない現状に、残念な思いですが、
様々な事実を、私なりに理解することが出来ております。

公判が始まりましたら、捜査資料につきましては、説明をさせていただきたいと思っております。

私は、幼稚園選びを間違えてしまった、という事を確信したという事だけお伝えすると共に、
生涯をかけて、誠実に、この事件と、慎之介の死と向き合い続ける事を誓います。

真実を追及する場ではない民事裁判在り方とその限界を、感じているのと同時に、
被害者や遺族としての思いを公の場で発信するという事が「裁判」しかない、
という現状を理解していたとはいえ、この問題とも向き合う重要性を感じております。

対立構造の中で、

一人の命、一つの事故から学びきる

という事は厳しいと思います。
ロザリオ学園と西条聖マリア幼稚園の教諭らは「どうしたいのか」全くわかりません。
無かった事にしたいのかもしれませんが・・

ライフジャケットも浮き輪も準備せず
保護者への説明も怠り
適切な知識を得ることなく
幼児に相応しい場所を選定しなかった
川は増水したけれど
「川が悪かった」から仕方なかったのではなく

4名の園児が流され、慎之介は水死し、3人の園児と
岩に取り残された園児たちは奇跡的に助かっただけで
助けたのは、ふれあいの里スタッフ2名と、偶然居合わせた観光客の方々で
先生方は、パニック状態であり、通報も、慎之介の救急車への同乗もしていなかった
そして、何もお話しできませんという態度を貫いた
20年間何もなかったからという理由から安全対策を怠った

この事実から、私自身、逃げることは出来ません。

ロザリオ学園も西条聖マリア幼稚園も
当時の引率教諭らも、誰にも、変えることのできない事実なのです。
「水死」した慎之介の命は、取り返しようがありません。

様々な問題と、向き合い、考え、このような事にならないために
「あってはならない事例」として、今後、研究し発信していこうと思います。
経験しなければ、決して言えない事ばかりです。
全て貴重な経験、情報として活かし、未来へ繋げます。

平成26年9月17日朝日新聞 『子を失う悲しみ、二度と 「事故から命守る」遺族ら活動』


慎之介君の写真に語りかける母親の優子さん=東京都小金井市の自宅


幼稚園の行事中の事故で亡くなった吉川慎之介君=吉川優子さん提供

 
事件や事故、災害から子どもを守ろうと、我が子を亡くした親たちが再発防止に取り組んでいる。悲劇が繰り返される現状を変えたいという。多くの小さな命も犠牲となった東日本大震災から3年半。文部科学省の審議会も16日、命を守る教育を強化する方針を示した。
 

再発防止へ検証 「学会」立ち上げ議論

学校での事故などで子どもを亡くした親や専門家らでつくる「子ども安全学会」の初めての大会が7日、東京都内であった。再発防止策を考えようと中心になって立ち上げたのは東京都小金井市の吉川豊さん(44)、優子さん(43)夫婦。2年前に長男慎之介君(当時5)を水の事故で亡くした。7日は慎之介君の誕生日、小学2年生になっているはずだった。

「出張に行ってきます」。2012年7月、父親の口ぶりをまねた慎之介君は、通っていた私立幼稚園の約30人の園児らと初めての「お泊まり保育」に出かけた。
ひょうきんで元気な男の子。ピアノを習い始めたばかりだった。
川遊び中に水かさが増し、慎之介君はほかの園児らと一緒に流された。
約150メートル下流で見つかったが、助からなかった。園側は子どもに浮輪やライフジャケットを着けさせていなかった。

「現場の危機管理意識が薄い中で問題が深刻化している」。吉川さん夫婦の憤りは消えない。だが一方で、「慎之介のような事故を繰り返さず、予防につなげたい」と願う。

昨年6月に「学校安全管理と再発防止を考える会」を立ち上げ、専門家を呼んで勉強会を始めたのが学会の前身。同じように悲しい思いをした遺族らと知り合い、再発防止を考えるようになったという。

「遺族がここまでしないとならないのかという思いはあったが、事故が社会に生かされることで私自身も助けられた」。愛知県碧南市の栗並(くりなみ)えみさん(35)は、10年に、1歳だった長男寛也ちゃんを亡くした。保育所で食べていたカステラを、のどに詰まらせた。

事故のとき、保育所は「保育士が横にいた」という報告書をまとめた。だが、栗並さんが原因究明のため何度も保育所に足を運ぶと、実際は近くにいなかったことを認めたという。その後、国や県に検証の重要性を繰り返し訴えた。
その結果、保育施設での事故防止策を考える政府の有識者会議が発足し、今月9日に初会合があった。「事故後にまともな調査がされていない。検証し、再発防止につなげるべきだ」と栗並さんは訴えた。
 

安全教育強化へ 悲劇、あとを絶たず

あとをたたない子どもの死亡事故をなくそうと、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会は16日、子どもが事件や事故、災害から身を守るための教育を強化する方針を示した。
日常生活に潜む様々な危険を予測することで、安全に行動できるようにしたいという。例えば保健体育ではどんな状況だと交通事故に遭い、犯罪に巻き込まれやすいかを考えさせ、社会科では地域の特性に応じた防災対策を教える。
こうした現行の安全教育を強化して体系化し、2020年度までに順次導入する新学習指導要領に反映する考えだ。

日本スポーツ振興センターによると、保育園や幼稚園、小中高校での死亡事故で災害共済給付金が支払われたのは、05年度が82件。その後も70件前後が続く。

東日本大震災で宮城県石巻市で多くの子どもが亡くなった大川小の惨事などを機に、子どもの命を守る教育に注目が集まったが、12年度も48件あった。プールでの水死といった同じような事例が繰り返されているのが特徴だ。

文科省は事件や事故が起きた際の学校の対応についても指針を作成する方針で、5月に有識者会議を立ち上げて議論している。01年の大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)での殺傷事件の遺族も参加し、学校がどのような事後対応をしてきたか調査している。(芳垣文子、高浜行人)
 

国民全体が関心を

<大川小の検証委員会で委員長を務めた室崎益輝・神戸大名誉教授の話>
子どもを亡くした親は強い悲しみのため、表だった活動にまで踏み出せないケースも多い。その中で、教員や保育士を批判するだけでなく、子どもの環境や学校が良くなるよう働きかけることは正しい方向で、喜ばしい。東日本大震災であれだけの悲劇があり、遺族の意識の高まりにつながっている可能性もある。ただ、こうした取り組みが遺族だけにとどまってはならない。国民全体が関心をもち、再発防止に向けて知恵を出し合うことが重要だ。
 

掲載元:朝日新聞デジタル

関連資料:2014年9月17日 朝日新聞