次回期日のご報告_裁判官_現場視察

第十一回口頭弁論期日
H28年9月6日(火)13時10~
愛媛県松山地方裁判所 西条支部
口頭弁論準備が公開の法廷で行われました。

原告、被告共に主張が出揃った事から
次回期日は、事故現場での進行協議となりました。
裁判長と裁判官が現場を視察します。

日時:11月17日(木) 14時~
場所:石鎚ふれあいの里

現地集合となっております。

証拠などの写真や動画だけでは感じることができない
現場を体感してほしいという思いから、視察を希望してしていました。

司法の中で、事故と向き合うことに様々な限界がありますが、
今回の視察は大きな意義があるものだと思います。

2016年8月31日付朝日新聞に記事が掲載されました。

朝日新聞の特集「小さないのち」

朝日新聞の特集「小さないのち」 記事ページはこちら

 
子どもの防ぐことのできる死と向き合うために、
死因検証の仕組みの重要性、
子どもの安全と事故を未然に防止するという理解について
社会全体で考える機会に繋がることを願います。
 

2016年8月31日付けの朝日新聞「小さないのち」に記事が掲載されました。

掲載記事はこちら:2016年8月31日付け 朝日新聞「小さないのち」(PDF形式)

 

川遊び中の事故、後絶たず ライフジャケットでリスク減

「屋外も注意 水の事故」
 大好きなピアノ教室に向かう車の中。吉川慎之介君(当時5歳)は突然言い出した。
「お母さん、僕が生まれてうれしかった?」
 「もちろん! すごいうれしかったよ」。母の吉川優子さん(45)が答えると、慎之介君は「ありがとう」と笑った。
 その次の日に事故は起きた。12年7月、愛媛県西条市。私立幼稚園のお泊まり保育での川遊び中、水かさが増し、慎之介君が流された。150メートル下流で見つかったが、助からなかった。園側はライフジャケットを着用させていなかった。今年5月には、元園長に業務上過失致死傷罪で罰金50万円の有罪判決が言い渡された。
 川やプールなどで子どもが溺れて亡くなる事故は繰り返されている。警察庁によると、11~15年に全国で272人の子どもが死亡・行方不明になった。河川が127人と5割近くを占める。
 人が溺れる原因を研究する栗栖(くりす)茜医師によると、人はパニックになると呼吸回数が安静時の5倍になることもあり、自分では息を止められず、大量の水を飲んでしまう。「ライフジャケットを着けることでリスクを減らせる」と話す。
 事故を繰り返してほしくないとの思いは、吉川さんも同じだ。昨年、事故予防を考える「子ども安全管理士講座」を始めた。「子どもの死を防ぐ制度を作らないといけない。それは、しんちゃんが生きた証しにもなる」
 慎之介君の事故を教訓に刻んでいる人たちもいる。
 事故があった川の近くで自然体験施設を運営するNPO法人・西条自然学校もその一つ。施設利用者らが川遊びをする際、希望者にライフジャケットを貸し出している。
 NPOの山本貴仁理事長は「利用者からよく『この川は泳げますか』と質問されるが、川遊びの経験や水泳の技量によって一概には答えられない。街の作られた安全空間で過ごす感覚のまま、自然の水辺に来ている印象がある。不慣れだと川の異変に気づくのが難しい。ライフジャケットは着ておくべきです」と話す。
(板橋洋佳、滝沢卓)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引用終了

2016年8月18日付け東京新聞に川遊びに関する注意喚起記事が掲載されました。

2016年8月18日付け東京新聞
川遊びに関する注意喚起記事が掲載されました。
ライフジャケットの装着が常識になりますように。
事故を予防する・事故は未然に防ぐものという理解が広がることを願います。
子どもの事故を限りなくゼロへ。

2016年8月18日付け東京新聞『川遊び、ライフジャケットを 息子亡くした遺族が事故防止訴え』

2016年8月18日付け東京新聞『川遊び、ライフジャケットを 息子亡くした遺族が事故防止訴え』

関連記事はこちら:東京新聞 TOKYO Web サイト

 

2016年7月20日 四年を経て

刑事裁判が終わりました。
事件に対するひとつのけじめと大きな区切りを迎えた年となりました。
2015年12月24日から始まった刑事裁判では、
多くの事実が明らかになりました。
2012年7月20日に起きた事、慎之介がどのような状態で亡くなったのかという事、
溺死に至った経緯と死因について、
理解を重ね、一つ一つ受け止めることができました。
慎之介の最後の言葉や思い、悲しみや痛みを、
聞き取りたいという思いで裁判と向き合いました。
 
事故を、「不幸で仕方ない出来事」などとして風化させてしまうのではなく、
事故の教訓をいかすこと、
「事故は防げるもの・防ぐもの」という理解が、
社会全体での共通認識となることを強く願います。

今、このメッセージを読んでくださったあなたに、
この思いが届きますように。
 
毎日、元気いっぱいに生きていた慎之介。
この笑顔に思いを馳せて。
 

 
2016年(平成28年)7月20日 吉川優子
 

刑事裁判 判決文

2012年7月20日
学校法人ロザリオ学園西条聖マリア幼稚園お泊り保育園児溺死事件
刑事裁判判決文
裁判所のサイト(裁判例情報)にて公開しています。

判決文

平成26(わ)81 業務上過失致死傷(認定罪名:業務上過失致死)
平成28年5月30日 松山地方裁判所

 
責任問題だけでなく、
子どもの安全確保、安全対策、組織体制などについて、
再発防止と事故の未然防止の観点から検証し、
保育・学校現場で教訓が活かされていくために
活用していただきたいと思います。

判決の確定

平成28年6月14日午前0時 
控訴の期限でした。

村上被告、越智被告の無罪判決に対し検察は控訴しませんでした。
そして、
近藤被告に対する有罪判決についても
弁護人から控訴しないという連絡がありました。

刑事裁判は一審で終わりました。

判決文の詳細内容につきましては
お問い合わせフォームよりご連絡ください。

判決確定に関する新聞掲載記事

平成28年6月15日付朝日新聞

平成28年6月15日付朝日新聞

平成28年6月15日付毎日新聞

平成28年6月15日付毎日新聞

平成28年6月15日 進行協議期日

H28年6月15日(水)15時30分~
愛媛県松山地方裁判所 西条支部
進行協議期日が非公開のラウンドテーブル法廷で行われました。

刑事裁判の判決が確定し初めての期日でした。
近藤恵津子被告の有罪判決が確定しても
これまでの「責任はない」という主張は何一つ変わりません。

刑事裁判とは別とは言え、当事者たちには何も響かない、
また、裁判を通じて事故と真剣に向き合っているのは
私達原告側だけで、遺族と保護者でしかない現実を痛感させられています。

次回の期日は9月6日(火)13時10分~
愛媛県松山地方裁判所 西条支部
口頭弁論期日となりますので、公開法廷に戻ります。

次回までに、事故に起きた増水は「鉄砲水である」という被告らの主張の
具体的な説明がなされる予定です。
鉄砲水というのは科学的な根拠はないという回答を
事故直後に問い合わせた専門家から説明を受けましたが
説明をするという事です。

昨年の7月18日、台風が過ぎた後に、
事故現場の加茂川の撮影をし、裁判所に証拠として提出しました。
当初、ナレーションは入れていなかったのですが、裁判長から
ナレーションなどを入れてほしいといわれたので、再提出しました。
動画は再編集し公開したいと思います。

裁判とは、何のためにあるのか、
刑事裁判が終わり、考えさせられる日々が続いています。
社会に公的な問題として提起するという事に変わりはありませんが
本来、民事裁判の役割はそういうものではないのではないのだと理解しています。
遺族や被害者が、事故の問題提起をするために、社会に訴えるために
事故を認知してもらうために、その手段が裁判しかないにもかかわらず、
裁判の判決、判例はほとんど社会で活かされることはなく
そういった仕組みもない中で、
事故は繰り返される悲しい現実も目の当たりにしてます。

遺族が伝えていくという意味、意義についても
できる事を積み重ねていくしかないのですが
改めて、考えさせられています。

慰霊式ではなく反省式を。

ロザリオ学園の代理人から
私達の代理人へ、慰霊式を行うという連絡が
FAXで送られてきました。

ご連絡(慰霊式について)

 
毎年、慰霊式の連絡はこうして事務的なfaxのみで
誰が出席し、どのうような事を実施したのか
そういった報告などは一度もありません。

2年前、起訴され刑事裁判を控えている状態でありながら
慰霊式について愛媛新聞に記事が掲載され、

「(遺族らに)慰めと希望が与えられ、力づけてくださいますように」
と祈りをささげた。

というコメントを見た時、胸がとても痛みました。
掲載された記事については、10日ほど経過してから
この記事を見た方から教えていただいて初めて知った状態でした。

今年もまたこの対応か、と冷ややかに感じていますが
刑事裁判で、園長が有罪判決が出てばかりの状況でこの連絡。
慰霊式ではなく反省式を行なってほしいです。

自分たちのためのアピールはもうやめてほしいんです。

慎之介は「慰霊」など望んでいないです。
反省してほしいだけです。

裁判で明らかになったこと 1過去の重大事故

裁判で行われた尋問や捜査資料などから
多くの事実がわかりました。

慎之介が発見された時の状況や
遺体の状態などは、警察の実況見分や検視データから
理解することができました。

川の状態や、当日の天候、
子ども達が深いところでも、バラバラに遊ばされている様子
先生たちが、監督できていない状況が観光客の方のスナップ写真や
幼稚園が撮影していた写真、証人の方と本人尋問からもよくわかりました。

遺族としては、当日、何が起きたのか、事実を知るという事は
とても大切で重要な事です。
どのように流されたのか、という点は、越智被告の尋問を
後日纏めたいと思っていますが、事故の全体像は明確になりました。

本人尋問では
事故当時の安易で漫然とした行事進行の様子や、安全意識の欠落など
「安全の事は考えもしなかった」などという、被告らの正直な発言から
よく理解することができました。

そして、
近藤恵津子被告の尋問で告白した
過去の重大事故については驚きました。

検察官が、
マリア幼稚園で過去に発生した重大事故について質問した際に
20年ほど前、近藤恵津子被告が担任を務めていた頃に
起こしていた死亡事故について告白しました。
それはバスの事故。
実は、園児が死亡した重大なバスの事故だったと、当時を知る方から
保護者に情報提供がありました。
でも、もう、確認することができない事故内容だったので
事実確認ができていなかったのですが、近藤恵津子被告本人が、
法廷で告白をしたことで、事実だったことが分かりました。
もう一つ、うんていからの落下事故についても、初めて聞く話しでした。
近藤恵津子被告の心に、ずっと、罪の意識が残っていたから
一番に出てきたのではないかと感じています。

ブランコからの転落、鼓膜損傷に関しては、訴訟問題に発展していました。
その他にも、骨折や歯の損傷等々、事故が多発し続けた中、
今回の溺死傷事件が発生したのです。

偶然起きた事故などではありません。
すべて起こるべくして起きた事故です。

事故が発生しても、水面下で対応し無かった事にし続け
今回も、ロザリオ学園が対応してくれることになっているなどと
呑気な発言をしていた近藤恵津子被告ですが、
しかし、これまでがそうだったように、今回も、確かにそうなのでしょう。
大阪から弁護士の先生たちを6人も揃え、徹底的に争う姿勢を見せ
無罪を主張し続けることなど、被告ら個人の判断では出来ない事だと思います。

法人として、園長の資質を問うことなく、指導も教育もせずに
全てを無かった事にしてきた対応は、罪深いとしか言いようがありません。
そして、なぜ、近藤恵津子被告のような園長に不向きな人が
園長という責任の重い職務を続投できたのでしょうか。

今回の事件は、無かった事になど出来ませんが
それでも、やはり責任はないと言う独自のスタンスを守りとおすのなら、
これまでと何ら変わることはないと思います。

ほとぼりが冷め、風化して、忘れられた頃に、
犠牲になるのは子ども達です。
その事は、今回の事件が証明しています。
慎之介だけではなく、多くの子ども達が傷ついていたこと、
傷ついたことを、重く受け止めてほしいのです。
同じ幼稚園で、園児の死亡事故が2度も起きている、
訴訟に発展している事故も2件ある状態は異常です。

事実と現実と、真摯に向き合っていただきたいです。

安全管理に関し、組織体制をたて直す機会は
何度もあったにもかかわらず、見直してこなかった
しかしそれが、許される状態にあります。
制度や指針、法整備などが必要だと思います。

判決_ひとつの節目

平成28年5月30日
刑事裁判の判決が出ました。

近藤恵津子被告 有罪 罰金50万円
越智亜里被告、村上玲子被告 無罪

安全対策を怠った事実について、全ての「責任」は
園を統括する園長にあるという判決でした。
刑事責任は、あくまでも個人の責任追及ですが
判決の内容は、組織としての責任や問題が問われたのだと
そのように理解しています。

安全の事など習っていない、誰も教えてくれなかった、
常識では考えられない急激な増水だった、予見などできない
準備していても事故は防げなかった、
ライフジャケットの装着は一般的でない等々・・・・
被告らの主張は全て却下されました。

裁判長は、被告の本人尋問で、
3人の被告に、それぞれ、どういった責任や権限があるのか
という事を質問し確認していました。
判決では、
幼稚園教諭は、
園児の生命・身体の安全を守る職務を行う者という事、
一人一人の安全意識の低さと
杜撰な組織・管理体制が事故を引き起こし、
慎之介の命が失われたという事実、
そして、責任の所在が明確に示されました。

越智被告に関しては、現在休職中ですが
安全など習っていないと主張していたのだから
もしも、万が一、復職するのなら、
子どもの安全について学び直してほしいと思います。
遺族としては、現状のまま復職などしていただきたくありません。

村上被告も、越智被告も、
無罪でよかったという内容の判決では無い、
という事を十分理解していただきたいです。
不起訴になった他の方々も同様です。

最後に、
判決とは別に、裁判長が近藤被告に対し
反省している事など、園長として周囲に伝える努力が必要だというような
指摘をされました。
誠実に対応していない現状を理解してくれたのだと感じました。
被告らは、保護者への説明は十分したなどと述べていましたが、
このような事を裁判長に言われてしまうような
状況、行動、対応についても、改めて、考えてほしいです。

判決をどのように受け止め、この教訓をどのように活かすのか、
本来ならば、まずは、
被告たちと引率した当時の教諭ら、
組織体制が杜撰だったことが明確となった西条聖マリア幼稚園、
学校法人ロザリオ学園が、向きあい考えるべきことだと思います。
「川が悪い」「不幸な事故」ではないのです。

裁判で、園長が有罪になって終わりではなく
司法が示した結果と
裁判で明らかとなった事実を活かすという事は
大きな課題の一つで、
社会が問われている事だと思っています。